私たちの年代になってきますと、骨粗しょう症が心配になってきます。特に閉経した中高年の女性の場合には、急激に骨量が減少してしまいます。

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これは、女性ホルモンであるエストロゲンの減少によるものです。エストロゲンの減少で骨粗しょう症になると、骨がスカスカになりもろくなって、ちょっとしたことで骨折しやすくなります。

実は、骨は大人になっても成長し、半年周期で生まれ変わっています。骨が古くなってきたら、血液中から破骨細胞が現れ、骨を溶かします。

骨を溶かし終わると、骨芽細胞が現れ、新しい骨を作ります。このような骨を溶かしてから再生するまでのサイクルは、全身でバランスよく連鎖して行われてきました。

エストロゲンは、骨芽細胞を助ける働きをもっているので、新しい骨が次々と生まれ、再生のサイクルを保つことができていたのです。

ところが、閉経しエストロゲンが減少すると破骨細胞と骨芽細胞のバランスが崩れ、必要以上に骨を溶かしてしまいます。骨芽細胞は慌てて骨を作ろうとしますが、追いつけない状態になり、結果的に骨密度が激減、骨がスカスカの状態になってしまうのです。

こうなると知らないうちに背骨の圧迫骨折を起こしている場合があり、注意が必要です。圧迫骨折は、痛みがない場合が多く、レントゲンを撮って初めてわかるケースがあります。

圧迫骨折の予兆
●昔に比べて身長が4㎝以上低くなった
●最近、背中が丸くなったと感じる

60歳代後半から、上記のような症状が現れますので、予兆がある人は一度受診してみるとよいですね。

また、最近になって、骨密度は十分あるのに、簡単に骨折してしまう人が増えてきました。このような人は、隠れ骨粗しょう症だと言われています。

最近、骨は「骨密度」に加え「骨質」も重視されるようになってきました。「骨質」とは、骨の強度のことで、骨の構造や代謝などが関係しています。

骨組織は、カルシウムとコラーゲンなどのタンパク質からできています。コラーゲンは美容だけでなく、骨の生成に大きく関わっていたのですね。

例えていえば、骨を鉄筋コンクリートの建物だとすると、カルシウムはコンクリート、コラーゲンは鉄筋の役目をしています。

ですから、骨を丈夫にするには、コラーゲンをしっかり摂取することが重要となります。

このコラーゲンが失われる原因は、酸化や糖化のほかに、ビタミンBが不足すると出てくるホモシステインの増加によるものと言われています。

また、ストレスや不規則な生活を送っていると、コラーゲンの繊維にベントシジンという錆(サビ)の物質が発生し、骨のしなりを低下させてしまいます。

コラーゲンを増やすには、ホモシステインというアミノ酸を減らし、ビタミンCやビタミンKなどのビタミンを摂ることが有効と言われています。

ホモシステインは有害で、血中に溶け込み悪玉コラーゲンの元になったり血管が硬くなり、動脈硬化なども起こす物質です。

隠れ骨粗しょう症対策

骨密度の検査をしたことはあるけれど、自分の骨質はどうすればわかるの?

自分の骨質を調べるには、「骨質マーカー」という検査があります。

骨質マーカーとは、血液検査でホモシステイン、尿検査でペントシジンを測定し、骨のコラーゲンの老化状態を判定する検査です。この検査で、自分の骨のサビつき具合がわかるんですね。

これにより、骨粗しょう症患者のタイプは、3つに分けられます。

骨粗しょう症患者のタイプ

1.骨質劣化型 骨密度が高く、骨質が悪い
2.低骨密度  骨密度が低く、骨質が良い
3.低骨密度+骨質劣化型 骨密度が低く、骨質も悪い

そこで、隠れ骨粗鬆症を防ぐには、ビタミンCとビタミンK、大豆イソフラボンを摂ることが重要だと言われています。

ビタミンCは、壊れたコラーゲンの再生を促す効果があり、ブロッコリー、ピーマン、レモン、キウイなどに多く含まれています。

ビタミンKは、骨形成を促進し、コラーゲンを増やす効果があり、納豆、卵、ホウレン草などに多く含まれています。

大豆イソフラボンは、女性ホルモン「エストロゲン」と似た働きがあり、少なくなったエストロゲンの代わりにコラーゲンの形成を促します。大豆のほか、厚揚げや油揚げ、豆腐、牛乳、おからなどに多く含まれます。

骨密度を増やす食品とコラーゲンを増やし骨質を改善する食品、両方をバランスよく摂って、強くしなやかな骨を保ちたいですね。

骨を強くする食べ物

・カルシウム~牛乳や乳製品、小魚など、
・ビタミンB6~レバー、マグロ(赤身)、ニンニク、ゴマなど
・ビタミンB12~サンマ、レバー、しじみなどの貝類
・葉酸~ノリ、緑茶、枝豆、モロヘイヤなど

高齢者が寝たきりになる一番の原因は 骨折だと言いますから、今から強い骨をつくっておきましょう。