ユン・ウグン(尹祐根)さん、1972年兵庫県生まれ。九州大学工学部を卒業し、東北大学で宇宙ロボットの遠隔操作に関する研究で工学博士を取得しました。

ユンさんが、ロボットに興味をもったきっかけとなったのがガンダム。将来は、ロボットを作ってみたいと思ったそうです。

大学では主に、宇宙ロボットの研究をしてましたが、産業技術総合研究所に就職し、福祉用ロボットアームの担当となりました。

そこで、首から下がほとんど動かない、高見和幸さんに出会います。高見さんは「グラスを傾けながら、コチンと乾杯したい」という、普通の人からみたら、本当にささやかな夢をもっています。

その夢を、なんとか実現させてやろうと、介護ロボットアームに取り組み福祉用のロボットアーム「ラピューダ」を完成させました。

ラピューダは、人の手の動きを徹底的に検証し「つかむ、持ち上げる、ひねる、差し出す」という基本的な動きを、世界初の伸縮アーム機構を開発し完成させたのです。

しかも、ラピューダの重さはわずか8kgで、テーブルや車いすなど、手軽にも取り付けることができます。

2013年11月の国際ロボット展で「ラピューダ」を発表。「天才的!」「新しい時代を開く可能性!」と大絶賛されました。

ユンさんが目指すのは、手の介護の必要な人が、自分で操作し自分の手の変わりとなる、ロボットアームです。

介護ロボット市場は、足を補佐するロボットは数多くあるのですが、動きの複雑な手を開発するメーカーは、ほとんどありません。

また、どれも値段は数百万円と高く、とても一般の人には、手が出る代物ではないのです。

それを80万円という手に入れやすい価格で、しかも、自分で取り扱えるロボットアームを目指しています。

産業技術総合研究所は、独立行政法人のため販売することができないためユンさんは、ベンチャー企業、ライフロボティクス株式会社を設立しました。

「障害のある人の我慢を少しでも減らしたい」「ロボットアームを使って、あれもしたい、これもしたいという夢を描いてもらいたい」

ユンさんは、自分自身に「壁を乗り越えられないのは自分がベストを尽くしてないから」そう言い聞かせ、介護ロボットアームの実現に向け進んでいます。