不可能を可能にする最先端医療。医学の進歩で今まで無理だと思われていた脊髄損傷で、下半身麻痺の男性が歩けるようになった医療をご紹介します。

番組で紹介された男性(39歳)は空手をするなど体を動かすのが大好きな青年でした。しかし、26歳の時、交通事故に巻き込まれ背骨を強打し、せき髄を約3センチにわたり損傷してしまいました。

脊髄には、脳から電気信号を伝え、体を動かす機能がありますが、その途中、脊髄が完全に損傷してしまうと、そこから下には電気信号が伝わらず、下半身を全く動かせない身体になってしまいます。

男性は、13年間まったく下半身が動かず車椅子の生活を送ってきました。今までの医療では、男性の様に脊髄を完全に損傷した場合、二度と歩けるようにはならないと言われてきました。

しかし、4年前、大阪大学医学部附属病院の岩月幸一先生が脊髄再生医療に取り組んでいるのを知り、最先端医療にかけてみることに。

この医療は、患者さん自身の鼻の中にある嗅粘膜と言う組織を損傷した脊髄に移植するというもの。

脊髄再生医療 嗅粘膜

嗅粘膜は、神経を再生する力を持った特殊な組織で、損傷した脊髄に移植すると、途切れた神経を伸ばし繋ぐ働きをします。

しかし、8時間に及ぶ大手術を受けるも、その後2年半は効果がほとんど現れず、半ば諦めかけていたそうです。

ところが、半年前から急激に足が回復してきて、松葉杖を使えば数十メートルも歩けるようになりました。

手術を担当した若月幸一先生は、男性の懸命のリハビリにより、移植された嗅粘膜に神経回路が生まれ、失われていた筋力が回復してきたのではないかと言います。

医学がどんどん進歩して、実際13年ぶりに歩けるようになった男性は、医学の進歩により信じられないことが起こるようになったと言います。

1つ新しい治療法を開発すると、もしかすると世界で100万人とか1000万人とか救えるかもしれません。

そのことが、最先端医療に臨む医師たちが研究を続けられる1番大きなモチベーションだそうです。

番組で紹介された男性も、「今、同じような障害で悩んでいる人たちも生きることをあきらめないで頑張って欲しい」と伝えていたのがとても感動的でした。