体に傷のある人なら、だれでも確信していることがあります。それは「天気が悪くなると古傷が痛む」ということ。低気圧が近づいてくれば、傷口がうずき、関節が痛みます。天気予報が発表される2、3日前に、わかる人もいます。

私には、盲腸のキズ、ランニングで痛めた膝関節、現在苦しめられてる五十肩がありますが、やはり天気が悪くなるとズキズキと痛みます。自分では、気圧が影響しているに違いないと思い込んでいましたが、人それぞれ自分流に解釈しているようです。

雨の日

今回は天気と痛みの研究をしている、名古屋大学環境医学研究所の佐藤純先生が、都市伝説とも言われる「天気が悪くなると傷口が痛む」に決着をつけてくれるようです。

その痛みは天気痛といい、愛知医科大学 学際的痛みセンターには、日本で唯一の「天気痛外来」を設けていて診療しています。

佐藤純先生の研究によると、やはり気圧が関係しているようです。ただ、気圧が痛みに直接影響を与えているのではなく、気圧変化が血圧や心拍数やノルアドレナリンの分泌に影響を与え、体にストレス反応を起こし「交感神経依存性による疼痛」を起こしているとか・・。

欧米の研究では、「気圧、湿度、温度の変化、降雨、雷、風」の6つが影響しているといわれています。ドイツでは気象予報をもとに、天気痛予報、健康気象予報などを発表していて、痛みに関する注意を促しているそうです。

日本でも、インフルエンザや、花粉情報、熱中症などの予報はありますが、病気や痛みに対しての予報はすごいですね。

天気痛を避けるには、「乗り物酔い止めの薬」を飲むといいようです。H27年1月21日NHK「ためしてガッテン」で紹介ました。

天気痛を知ることで天気痛を予防改善しよう

内耳の中の気圧センサー天気の崩れをキャッチ

天気が崩れる前にはキズの痛む兆候があり、実際崩れてくると古傷や関節が痛むのは事実です。

実は、人には天気の崩れを感知することができる器官が備わっています。それは耳です。耳の中にある内耳と呼ばれる器官にはリンパ液が溜まっていて、体を傾けたりした場合にリンパの流れを感知してバランスをとります。その内耳の中には、気圧センサーが入っています。

気圧センサーは、天気の崩れで気圧が下がるのを感知しリンパ液の流れを乱してしまいます。しかし、目から入ってくる情報では身体の傾きがないため、脳が混乱をおこし交感神経を興奮させてしまいます。

そうすると、交感神経の末端につながっている痛覚神経が興奮し、治ったはずの古傷が痛み出したり持病が悪化してしまうのだそうです。

天気が崩れると脚などがむくんだり腫れたりする人は、交感神経が血管を収縮し血流が悪くなるため起こるそうです。

耳の中の気圧センサーはだれでも持っているのですが、その感度が人によって違い敏感な人は1/3の変化で反応し、痛みも3倍増幅させてしまいます。

低気圧の痛み解消には自動車の酔い止め

低気圧による痛みを解消するには、「自動車の酔い止め」を飲むといいそうです。酔い止めは内耳のリンパの流れを動きを鎮めてくれるため効果があるそうです。天気痛と乗り物酔いとメカニズムがとても似ているそうです。

飲むタイミングは気圧の変化の予兆があったときです。

●予兆
・耳が詰まった感じがする
・眠気
・頭がボーッとする
・めまい
・首や肩が重くなる
・こめかみが締め付けられる

自分の予兆の症状が、酔い止めの効能に書いてあれば飲んでみてください。1回飲んだら、飲まないで何日も過ごせるそうです。乗り物酔い止めはコンビニでも買うことができます。

予兆の種類もでてくる時間も人様々なので、痛み日記をつけて、自分の予兆を自覚するといいそうです。

痛み日記は、痛みの強さと天気の変化がどう連動しているかがわかります。

また、自分の脳の中にある脳内麻薬をだすことで痛みを抑えることができます。脳内麻薬は脳の側坐核と呼ばれる場所から分泌され、モルヒネの6.5倍に相当する鎮痛効果があります。

また、痛みは心と密接に関係しています。ドイツの痛み天気予報は、なんと見ているだけで痛みが和らぐそうです。これは、予報情報を得ることで心に準備ができリラッスするとこができるためと考えられています。

ストレスは側坐核の働きを悪くして、脳内麻薬の量を減らしてしまうため痛みは強くでてくるのです。

週間天気予報を見ると「天気が良くなれば痛みが楽になる」と考えるため、ストレスが軽減し痛みを和らげることができるそうです。

天気予報を痛み予報として活用すれば、いいんですね。あと3日で良くなると思えば心も軽くなります。それから「乗り物酔い止め」はぜひ実践してみようと思います。