2013年5月にアンジェリーナ・ジョリーさん(38)は、遺伝子「BRCA1」に変異があるとして、乳房を切除する手術を行い世界に衝撃を与えました。
ジョリーさんは、遺伝的にBRCA1に異常と判断されたそうです。そして、乳がんになる可能性は87%と診断されました。
彼女のお母さんは、2007年乳がんのため56歳で、母方の叔母さんが2013年5月乳がんのため61歳で亡くなりました。
昔から、がん家系など漠然と言われてきましたが、遺伝子解析が進み次々とその根拠が見つかるようになってきています。
「BRCA1」「BRCA2」という2つの遺伝子の異変は、遺伝的な要因があり、乳がん、子宮がんの発病に関係していることがわかってきました。
米国立がん研究所によりますとBRCA1、BRCA2のどちらか一方、または両方に変異のある女性の場合、乳がんを発症するリスクは約60%(変異のない女性の場合12%)だそうです。
BRCAに変異のある女性のがんの特徴として
①比較的若いうちに乳がんを発症する
②両乳房にがんが発症する可能性も高い
そのリスクは87%とされており、ジョリーさんはこれに該当したようです。
また、一般的な人の卵巣がんの発症リスクは1.5%程度ですが、BRCA1変異の人の場合は40~60%、BRCA2変異の場合は16~27%の高リスクになるそうです。
ジョリーさんは、今回の両乳房切除により、乳がんリスクを約87%から5%に下げたそうです。さらに、今後は卵巣摘出手術を受ける予定だそうです。
がんは、遺伝子のコピーミスから起こるといわれてます。その原因として、生活習慣や生活環境、ストレスなどが挙げられてきました。
でも今回のように、遺伝的な要因との因果関係がわかり、さらに、その変異を遺伝子検査で調べられるということは、私たちに色々な選択の仕方を与えてくれます。
発病、手術、抗がん治療、再発を繰り返している人が身近にいますと、彼女の決断は、最も的確な判断であったような気がしてきます。
BRCA1遺伝子やBRCA2遺伝子の遺伝子検査は、日本でもすでに行われています。
”遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)の情報サイト”に遺伝子検査のできる病院や詳しい情報が載ってましたので、ご心配な方は参考になさってみてください。