女性の多く人が経験するめまい。めまいには、グルグル回る「回転性」のものと、フワフワとする「非回転性」があります。

めまいを起こす原因は①平衡感覚の異常②脳の異常③ストレスによる自律神経の異常といわれてます。

でも、実際のところ、更年期障害や疲れもあり、病気かどうかの判断だってよくわからず、ついつい、そのままになってしまいますよね。

今回の患者さんは、バスガイドに復職した45歳の女性です。めまいと肩こりが起こるようになり、以前はけっしてなかったのに、車に酔うようになってしまったそうです。

めまいは「ふわふわ」する感じ。バスの冷房もきつく更年期で歳でもあり、疲れかなと思って頑張ってましたが、ついに勤務中に倒れてしまいます。

実は、同じようなめまいを訴えていた父親が、脳梗塞で亡くなったいたそうです。

女性のめまいの原因を、本輪西ファミリークリニック草場鉄周先生が導いてくれます。

「めまい」という症状は、わかりやすいけど医師でも原因追求は難しいといいます。はたして、研修医からはどんな病名が導き出されるでしょうか。

45歳のバスガイドふわふわするめまい

●患者の病状の経緯
3月 バスガイドに復帰、そのときは絶好調で週3日の勤務をこなしていました。

5月 めまいがはじまり、同時に左の肩こりがひどくなり、車酔いするようになってしまいました。

酔い止めの薬を飲んでも効かず、ふわふわしためまいが起こり1度おこると30分位続きます。めまいがするとドキドキしてきます。

7月 昨日勤務中ふらっとして倒れてしまい心配になって受診しました。

実は、父親が同じめまいに悩んでいて、放っておいたら脳梗塞になり亡くなりました。

患者は、診断により緊急性の問題がないことから帰宅。勤務しながら経過を見るることになりました。

●バイタルデータ
体温 36.6℃
血圧 118/58
脈拍 78回/分
呼吸数 10回

ファーストカンファレンス

・発作性心房細動
心房の動きが発作的に乱れ不整脈が起きる病気。症状は、動悸、ふらつき、めまいなど

・椎骨動脈解離
脳に血液を送る椎骨の内側の膜が裂ける病気。症状は、頚痛、頸の痛み、めまい、手足のしびれ

・メニエール病
内耳のリンパ液の過剰で起きる病気、原因は不明。症状は、めまい、耳鳴り、など30~40歳の女性に多い

患者はぐるぐる回る回転性のめまいである。そこから考えるとメニエール病や良性発作性頭位めまいなどはよくあるケース。
P.R.

そのほか、心因性としてパニック障害がある。

回転性のめまいで見逃してはいけない病気としては、小脳梗塞、前失神(眼前暗黒感)がおこる発作性心房細動、心筋梗塞。

●患者の診断
回転性のめまいの診察・・頭を45度横に向け体を倒す(異常なし)

小脳梗塞の診察・・鼻の上と指を使った診断(異常なし)

前失神の診察・・(異常なし)

緊急の危険性がないことから、患者を帰し2週間の経過観察とする。

【診察後2週間の経過】
めまいが頻繁に起こりました。左手の指がうまく動きません。両方の足がもつれるようになりました。

困ったことは、トイレが近くなってしまい1時間がまんするのもつらい状態です。症状は進行していて、肩や指先までしびれるような感じです。

セカンドカンファレンス

・糖尿病性神経障害
・甲状腺機能亢進症
・脊髄小脳変性症

【注目すべき患者の症状】

・巧緻運動障害 細かい指の動きができない
・痙性歩行 歩行障害が起きている

これらの症状から、上記の病気の説明はつかない。

腱反射をしてみたところ、
①腕の京阪者は低下(減弱)
②脚の腱反射は亢進(過剰)がみられた。

このことから上位運動ニューロンの異常が判明する。

予測されたのは、後縦靭帯硬化症と頚椎椎間板ヘルニア。後縦靭帯硬化症は、男性の糖尿病患者に多いことから可能性は低い。

最終診断

患者は、頚椎椎間板ヘルニア脊髄症でした。

頚椎は7つの骨で構成されていて、その間にある椎間板がつぶれて脊髄や神経根を圧迫する病気です。症状は、腕のしびれや強い痛み、巧緻運動障害、歩行障害排尿障害などが起こります。


●治療
頚椎ヘルニアの手術をし、現在はリハビリに取り組んでいるそうです。