中高年になるとLDLコレステロールが高くなったり、中性脂肪値が高くなる、脂質異常が起こってきますね。
従来は、LDLコレステロール値が140以上から治療対象とされていましたが、2012年7月に改訂された治療ガイドラインで、新たに120~139を境界域とし、他の危険因子、例えば心筋梗塞などの持病があれば、120でも治療の対象となります。
このように、その方の持っている危険因子で、目標のコレステロール値が変わってくるということです。
NHK今日の健康では、リスクによるコレステロールの目標値を、順天堂大学 代田浩之教授が詳しく説明してくれました。
例えば、狭心症の持病がある人は、140でも危険と判断し、薬による治療を始めると言うことです。
そもそも、LDLコレステロール値が高いとどうなるかというと、血管が動脈硬化をおこし、心筋梗塞や狭心症を起こしやすくなります。
コレステロールは、主に肝臓で作られて血液の中で運ばれます。
血管の中には、善玉(HDL)コレステロールと悪玉(LDL)コレステロールが存在するわけですが、LDLコレステロールは、血管の中に入り込んで血管を詰まらせ、心筋梗塞などを引き起こします。
食事の欧米化、運動不足が高コレステロールの原因
最近、日本人のコレステロール値が高くなったのは、食事の欧米化(肉や動物性脂質の摂り過ぎ)で栄養過多の上に、運動不足が原因だと言われています。
このように、動脈硬化を引き起こす3つの脂質異常をまとめて脂質異常症とよんでいます。
3つの脂質異常とは、
●LDLコレステロールの値が、140mg/dl以上(境界域 120~139)
●低HDLコレステロール血症 14mg/dl未満
●高中性脂肪血症(高脂血症) 150mg/dl以上 です。
しかし、動脈硬化を起こすのは、脂質異常症だけでなく色々な要素が絡んでくることから、これらの危険因子があることで、コレステロールの目標値が違ってくると言うことです。
脂質異常症のほかの主な危険因子は、「高血圧」、「糖尿病」、「慢性腎臓病」、「喫煙」、「家族歴」、「男性」、「加齢」があります。
このような、個人が抱えている事情に合わせてコレステロール値を決めていこうというのが、新しいガイドラインです。
LDLコレステロールのリスク
では、「最大リスク」から見て見ましょう。今までに、心筋梗塞や狭心症を起こしたことがあるという人の
LDLコレステロール値は、100mg/dl未満と低く抑える必要があります。
次に高いのが「高リスク」です。
糖尿病、慢性腎臓病、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症などのうち1つでも起こしたことがあるという人のLDLコレステロール値は、120mg/dl未満に抑える必要があります。
そのほかの危険因子は、例えば、年齢、血圧、喫煙などにより「高リスク120mg/dl」、「中リスク140mg/dl」、「低リスク160mg/dl」に分けられます。詳しいことは、以下の図を参照してください。
しかし、自分がどのリスクなのか分からない人もいますよね。具体例を上げて見ると、「男性」、「55歳」、「高血圧」の場合は、「中リスク」と言うことで、目標値は、140mg/dl未満と言う事になります。
また、上記の危険因子のほか、耐糖能異常(糖尿病予備軍)、家族歴、低HDLコレステロールなどが、一つでもあれば、「高リスク」となり、目標値は、120mg/dl未満となります。
では、女性の場合はどうなるのでしょう。先ほどの男性を女性に変えると、「女性」、「55歳」、「高血圧」の場合は、「低リスク」と言うことで、目標値は、160mg/dl未満と言う事になります。
女性は、男性に比べ心筋梗塞を起こす割合が低く、男性は女性に比べ、3倍から5倍危険だそうです。
ただし、女性も閉経後、年齢を重ねると男性ほどではないですが、閉経前の女性よりリスクが高まりますから、やはり注意が必要です。
このように、LDLコレステロールの値は、各自が持っている危険因子で目標値が違ってくるという事が分かりましたね。
健康診断で、LDLコレステロール値が高いと言う結果が出てもその数値は、一律のものではなさそうですね。