ある日、突然肩が痛くなって上がらなくなる・・50代前後に、ほとんどの人が経験するという五十肩になったときのチョイスです。
五十肩は、単なる老化現象ではありません。加齢による筋肉の衰えにより、肩関節の周辺に炎症が起きるといわれてますが、まだはっきりした原因は解明されていないそうです。
通常、激痛時期の急性期、痛みが治まり動かない慢性期、痛みも消え動きも改善する回復期があり、ほとんどの人は2年以内に自然に治るといいます。
しかし、それぞれの段階で、対処の仕方を間違えると、肩が一生動かない凍結肩(拘縮肩)の状態になってしまいます。
また、腱板断裂や肩関節周囲炎などが起こって凍結肩にならないために、肩関節鏡視下手術を受けなくてはならない場合もありますので注意が必要です。
痛いときにやってはいけないこと、 凍った肩の動きを改善する秘訣など、どの段階でどういう処置をしたらいいのか・・早めに治すためのポイントを東京医科歯科大学 望月智之先生が、教えてくれます。
五十肩の治し方とやってはいけないこと
五十肩は、30歳から80歳頃までの間に発症するのですが名前の通り50代でピークになります。男女差や、職業、肩の使い過ぎなどによる差はほとんどありません。
五十肩の処置を間違えてしまうと、肩が全く動かない 凍結肩になってしまいます。
●五十肩の特徴
・炎症がおきて突然肩に強い痛みが生じる
・肩が徐々に動かしづらくなる
・肩の使いすぎと関係がない
●主な症状
・痛くて眠れない
・痛くて着替えができない
・つり革につかめない
これらの症状がほぼ1年以上続きます。利き手の場合は、生活に支障がでてしまいます。
この時、肩の関節を包んでいる関節包が小さく なってしまい、動きが悪くなってしまっている状態です。
痛い時(急性期)のバッド・チョイス
①肩に負荷のかかることをしてしまい、痛みの期間を長引かせてしまう。
痛い時は、何もしないで安静にしておくのが一番です。特に、腕を上に動かす挙上や、外の動かす外旋などの痛い動作を、なるべくしないことが長引かせないコツです。
②夏場冷房により肩を冷やしてしまう。
スポーツの怪我のように外傷の場合と違うので肩を冷やすのは厳禁。冷房の下にいない、肩に当て布、厚着、冬はホッカイロ、お風呂に入るなどして肩を温めると楽になります。
【痛みが強い時の注意点】
・なるべく肩を動かさない
・肩の動きについて医師とよく相談する
・冷やさず適度に温める
早く治すためのチョイス
肩を早く治すためには、痛みのなくなった慢性期からきちんとしたリハビリをすることが重要です。リハビリは、縮こまった関節包をほぐし、回復させる効果があります。筋肉も固まっていますので、周囲の筋肉をほぐすことからはじめます。
リハビリは一人では難しいため第三者の力を借りるか、個人で行う時には専門家のアドバイスをよく聞いて行うことが大切です。早く治すには「痛みが強いときは安静、痛みが引いてから肩を動かす」が基本です。
●最後のチョイス
肩がどうしても回復しないときは、手術しかありません。手術した後、リハビリを受け、少しづつ回復を計ることになります。
五十肩は、現在のところ予防法もなく、まだ原因もはっきりわかっていません。「痛いとき動かさないと固まっちゃうわよ」などの 間違ったアドバイスで、けっして急性期に無理して動かさないようにしてくださいね。