私たちの年代になってきますと、両親やパートナー、大切な友人を失くしたり、退職などで環境が変わったりと気持ちが落ち込んだりすることが多くあります。

また、体力の衰え、病気、老いへの不安など、精神的なストレスがいっぱいあります。

うつは、そのような心のすきまや「喪失体験」から発症することが多くあります。

また、脳の血管つまり(脳梗塞)による「血管性うつ病」も中高年の方には多いようです。

今回の名医にQでは、視聴者からの「うつ」に関するいろいろな悩みに応える内容です。

身近な問題が寄せられるだけに、とっても参考になりますよね。

「うつ」を防ぐにはどうしたらよいか、また「再発しない」ための注意点とは? そして最も怖い「自殺」を防ぐためには?3人の名医がいろいろな角度からアドバイスしてくれました。

うつに応える名医

●うつの名医
慶應義塾大学教授 三村將先生
日本医科大学武蔵小杉病院 岸泰宏先生
自殺予防 河西千秋先生

うつ病は治る?

・うつ病が治ったという状態はどんな感じなのか?

→うつ病の場合には、寛解(かんかい)という言葉を使います。
病気以前の自分の判断や行動ができていれば寛解と判断してもいいと思います。

うつ病の症状である、眠れない、食欲がない、疲れやすい、動きがにぶい 自分を責める 集中できない 死んでしまいたいと思うなどのことをがすべてなくなった時が目安かと思います。

・性格は変えられないが、考え方をどう変えればうつ病を防げるか?

→認知行動療法は、自分の失敗などを、ノートに書きながら他の考え方ができるよう前向きに処理していくことから始めます。

・娘のうつ病に対して親はどう対処すればいいか?

→家族の方も、うつにかからないように注意する必要があります。子供に対して叱ったり上から目線は逆効果になります。少しそっとして見守る気持ちが大切です。

薬はどう使うか?

●SNRIと抗不安薬を自己判断でやめてしまった。症状は改善せず、めまいや頭痛が続いている。
→SNRIは急にやめるとセロトニンの関係でめまいが起こることが多いです。

薬を飲み始めて2~3週目で、薬の効果がでてきます。さらに数ヶ月後に、うつ病の寛解になります。この段階で薬をやめると再発してしまいますので、その後6~9ヶ月きちんと薬を飲んで再発予防をすることが大切です。

●副作用などで試せる薬がない状態、どうしたらいいか?
→効果が乏しいと思っても数週間は薬をやめないで様子をみることが大切です。見かけ上の難治性うつ病を作らないことが大切です。

難治性のうつ病とは、2種類以上の抗うつ薬を使っても効かない場合をいいます。その他の薬との組み合わせで対応することができるそうです。

●躁うつ病と診断されたが・・
そううつ病のことを双極性障害といい、鬱と躁をくり返してしまいます。躁鬱を抑える薬があるので、長期間飲み続け予防することが大切です。

難治性のうつ病に対しての治療

慶應義塾大学医学部 精神科 新村秀人さん

修正型電気けいれん療法・・脳の前頭葉が影響している場合が多くあります。この前頭葉の部分に電気的な刺激を与えて脳の働きを整えて、うつ病の症状を改善しようとするものです。

治療法は、全身麻酔をかけ筋しかん薬を投与し、左右のこめかみから3秒~5秒電気刺激を与えるそうです。これを3日おきに10回目安に治療を行います。

脳科学で自分の感情をコントロール

玉川大学 脳科学研究所 松田哲也さん

発達障害であるアスペルガー症候群を改善する方法をfMRIという機械を使って研究しています。

患者さんの脳の活動をリアルタイムに視覚的に自分でみることにより、治療に結びつける治療法です。

これにより脳の扁桃体を制御したり、悲しい気持ちなどの感情を制御することを覚えます。

自殺に予防するには

家族・友人 医療機関 市町村の相談窓口 自殺予防対策担当部署
精神保険福祉センター 民間の相談機関 で相談してください。

自死遺族には
・家族を突然失う悲しみ
・悲しみと複雑な思い
・待ったなしの生活
・心理的・社会的孤立

があります。そのような方には関与しながらもそっと見守ってあげることが大切だそうです。