交通事故やスポーツ中のぶつかりなどの経験がある人で、頭痛や、めまい、吐き気、耳鳴りなどの症状が治らない人は、脳脊髄液減少症かもしれません。
脳脊髄液減少症とは、背中の脊髄に衝撃が加わったときに、膜がやぶれてしまい脊髄液が漏れ出してしまう病気です。
脳や脊髄は、ご存じのとおり、人間の思考や神経あらゆるものをコントロールしている最も重要な器官です。
この大切な器官を守るために、脳とせき髄は、髄液という液体の中に浮かんだ状態で、衝撃から守るようにできています。
やわらかい豆腐を水の中に入れて、崩れないようにしているのと同じようなイメージです。
外から多少の衝撃があっても、液体がクッションになるため、脳やせき髄には影響を及ぼさないような仕組みになっています。
しかし、瞬間的に強い衝撃が加わると、液体をいれている膜に傷がついてしまうことがあります。
そうすると、髄液は漏れ出してしまい、浮かんでいた脳の位置が下がってしまい、同時に血管や神経が引っ張られてしまうため体にいろいろな症状が起こるようになります。
むち打ち症の後遺症との関係
典型的な症状は、頭痛、吐き気、めまい、耳鳴り、倦怠、不眠、記憶障がいなどです。交通事故の後遺症などでおこる症状です。
これまで交通事故の後遺症は、自律神経や精神な問題とされてきましたが、多くのケースで髄液の漏れが原因であることがわかってきました。
検査は、脳と脊髄のMRI、放射性同位元素を注入しての脳槽シンチグラフィー、CTミエログラフィー、MRミエログラフィーなどにより髄液の漏れがないかを診断します。
治療法としては、発症から1か月の急性期では、横になって十分な量の水分を摂りながら様子をみます。
それでも改善しないときには、検査で漏れと漏れの位置を確かめた後、硬膜外自家血注入療法(ブラッドパッチ)と呼ばれる治療を行います。
硬膜外自家血注入療法(ブラッドパッチ)は、自分の血液を採取して漏れている場所に注入し、血液の固まる性質を利用して髄液の漏れを止める方法です。
治療は、3日~1週間ほど入院して行います。むち打ち症の後遺症で悩む人を検査し、漏れがあった人に治療した結果、9割の人に大きな改善効果がみられたそうです。
自家血注入療法(ブラッドパッチ)は、これまで保険適用外で数十万の費用がかかってましたが、2016年4月より保険適用となりました。
専門的な技術が必要なため、治療できる病院はまだ限られていますが、治療効果はかなり高いようです。
後遺症の後遺症などで長い間悩んでいる方は、脳神経外科などの専門科目のある病院を訪ねて一度ぜひ診てもらってください。