認知症といっても、人によってでる症状は様々です。主な症状には、以下のようなものがあります。

●認知症の主な症状
・記憶障害・見当識障害・判断力障害・徘徊・弄便(ろうべん)・妄想・暴力、暴言・失禁、排尿障害・異食・不眠、昼夜逆転

認知症の家族を家庭で看ることは、とても大変なことです。自分だけで抱えず、必ず専門家の手や支援を得てくださいね。

相談窓口は、市区町村の窓口、高齢者総合相談センター 電話:#8080(はればれ)、地域包括支援センターなどです。

相談すると、病院や介護施設、介護支援など、適切なアドバイスや支援を受けることができます。

老人の手

認知症患者の暴力や徘徊を抑える方法として、今注目されている方法があります。その方法とは、ユマニチュードという患者の心に寄り添う治療法です。

ユマニチュードとは、フランス人のイヴ・ジネストさんが開発した、「見る」「話す」 「触れる」の3つを基本とする高齢者とのコミュニケーション手法です。

ユマニチュードで接すると、感情的で攻撃的だった人も徐々に穏やかになり、言葉使いや症状も劇的に改善するそうです。

現在、ドイツやカナダなどで積極的に取り入れられ効果をあげているそうです。

NHKスペシャル11月15日「シリーズ認知症革命」では、暴力、はいかいなど、認知症の症状を大きく改善させる方法について世界中の研究成果が紹介されました。

認知症になっても、穏やかにその人らしく生きていくことは、とても大切なことです。生きてる限りは、人としての尊厳をもって生きて逝きたいですね。

島根県出雲 小山のおうちの取組み

島根県出雲にある、重度認知障害者ディケア「小山のおうち」では、認知症の中でも重度の方を対象とした施設です。

この施設では、独自の取組み方法で認知症状の改善に大きな効果を上げています。その一つは、認知症の方に手紙を書いてもらうことです。

これまでは、認知機能が衰えた人が文章を書くことは無理だと思われていました。しかし、この施設にいるほとんど人が、文章で自分の気持ちや意思、感情を伝えているのです。

預けている家族も、その文章を見てはじめて本人の気持ちを知ることができたといいます。

綴られていたのは、認知になって悲しい思いをしたこと、いつも叱られて情けなくなったなどの心境でした。このことは、重度となり言語が思うようにできなくなっても、自分をしっかり持っていることを意味します。

認知症の暴力や徘徊などの行動は、自分を理解してもらえないことの苛立ちから起こるそうです。

つまり、そのことをしっかり理解し受け止めてあげれれば、それらの行動を改善することができるのです。

認知症の中の症状は、認知機能障害と行動・心理症状に分けられます。この中で、行動・心理症状に分類されたものについては、周囲の接し方を変えることにより大きな改善が見られるそうです。

●認知機能障害
記憶障害、判断力低下、見当識障害

●行動・心理症状・・改善できる
不眠、幻覚、不安、妄想、徘徊、暴力、無気力、躁鬱、暴言

周囲の接し方とは、けっして怒らずやさしく認めてあげること。叱ることや注意は、認知症の人を一層孤立させ、症状を悪化されてしまいます。

忘れたこと、失敗したこと、本人はなぜ叱られているかさえ見当がつきません。理由がわからないのに怒られるから、それが怒りになってしまうそうです。

今までできていたことは、もうできないのであきらめてあげること。そこを家族が理解したときに、認知症の方と家族がはじめて一緒に生活できるといいます。

静岡県富士宮市 認知症を市民が支える町

静岡県富士宮市では、市民が認知症の人を支え成果を上げている町です。その取組みは広く海外でも知られ、各国から視察のくるほどだといいます。

富士宮市では、認知症の人が働ける場所や、集う場所、楽しむ場所がいたるところにあります。それを支えているのは、市民の認知症サポターたちです。

認知症サポータは、市民が立ち上げた組織で2004年35人だったのが、現在では多くの市民が参加し、1万1902人にもなっています。

町、企業、学校、お店、いたるところに認知サポーターがいて、認知症の人が普通に暮らせるように。こまかに支援してくれているのです。

これまで、認知症の人は少数派でしたが、これからどんどん増えていきます。富士宮市のように地域で、認知症の方を支える仕組みが、これからの日本に必要だといいます。