寿命が伸びることはうれしいですが、認知症になるのは絶対に避けたいと誰もが思いますよね。でも残念ながら、高齢者の認知症数はどんどん増えていくばかりです。
今の医療技術では、認知障害を遅らせることはできても、決定的な治療法はまだ確立していない言われています。近い将来、治療薬ができることは間違いと思いますが、それまでになんとか認知症を発症しないように気をつけなければなりません。
では、どうすれば認知症の発症を抑えることができるのでしょうか。認知症予防のスペシャリスト 鳥取大学医学部 浦上克哉先生は、アロマセラピーの認知症改善効果に注目しています。
浦上先生によると、嗅覚は他の感覚と違い大脳に直接伝わるため、アロマセラピーの臭いを嗅がせることにより脳を刺激し、認知を改善することことができるそうです。中でも、ローズマリー、レモンオイル、ラベンダー、オレンジオイルの4種類に大きな効果が見られるという研究成果を発表し話題になりました。
H27年1月10日放送 NHK「チョイス@病気になったとき・認知症予防スペシャル」では、浦上先生と、九州大学 精神病態医学 小原知之先生が、認知症を予防するための生活習慣や、萎縮していく脳を復活する方法、認知になりやすい病気、認知症になりにくくするための食事など、認知症予防のための最新情報とチョイスの仕方を教えてくれました。
認知症予防法と認知症治療薬の最新研究
今、世界中で認知症を予防するための研究が進んでいます。イギリスロンドンにある国際アルツハイマー病協会では、認知症を予防する方法として3つの生活習慣病の改善を求めています。
認知症予防する3つの方法
①喫煙をやめる
喫煙は、血管性認知症とアルツハイマー病のリスクを3.0倍高めます。
②高血圧を治す
高血圧は、認知症のリスクを最大で10倍も高めてしまいます。
③糖尿病を治す
糖尿病は、血管性認知症とアルツハイマー病のリスクを2倍高めてしまいます。
これらの生活習慣は、血管へのダメージを与えてしまうため認知症を進めてしまうそうです。特に、近年アルツハイマー病が増えている理由として、糖尿病の増加が影響しているそうです。アルツハイマー病の発症は20年前から始まると言われており、10年前には海馬の萎縮が始まります。ですから、なるべく早く生活習慣を見直すことが必要です。
認知症を改善する方法
①ウォーキングをする
運動は脳にいい影響を与えるばかりか、萎縮した脳を回復させる効果があります。ウォーキングを1年間続けたテストを行った結果、海馬の大きさが大きくなっていることが証明されました。
一番手軽で確実なのはウォーキング。海馬を大きくするウォーキングの目安は、息が弾む程度の早さで週3回、1回30分~40分だそうです。また、歩く早さも認知症に関係しているといいます。歩きは脳の前頭葉が関係していて、前頭葉の機能が低下してくると歩く速度が遅くなってきます。逆に、歩く速度を早くすると認知症を発症しにくくしたり、症状を改善してくれるそうです。
②睡眠をしっかりとる
アミロイドβは、昼間活動している時にどんどん増えてくるのですが、睡眠ととることで脳の中から排出されます。しかし、睡眠不足になるとアミロイドβの量が溜まっていってしまいます。なんと、一晩徹夜しただけでも驚くほど蓄積してしまうそうです。また、睡眠不足は記憶の定着にも影響しているので、しっかり睡眠をとることが大切です。
③乳製品+和食
認知症を予防する食事は、和食中心の食事と乳製品の組み合わせがベストだそうです。牛乳なら150ml程度、ヨーグルトなら150g。1日1回どのタイミングでもいいので摂取してくださいとのことでした。
認知症治療薬の最新研究
最新の研究で、鼻から直接インスリンを噴霧することで、脳のエネルギー不足を改善することがわかってきました。認知症は脳のエネルギー不足から起こっていますので、この効果が確認されるとアルツハイマーの治療薬になる可能性がありますが、今はまだ臨床段階のようです。
認知症の根本的な治療法が早く確立することを願うばかりですね。