高齢化が進むと同時に、世界中で認知症患者が急増すると言われています。日本でも、10年後には65歳以上の5人に1人、約700万人が認知症になるそうです。

まさしく、私たちの世代が対象ですよね。認知症治療薬は、世界中の医療機関が開発競争を繰り広げていますが、ほとんどが脳内のタンパク質に着目しています。

それとは、まったく別の角度から認知症治療の研究をススメているが、九州大学 藤野武彦先生(76)です。藤野先生は、20年前に「メタボやうつ病などの現代病は、脳の疲労が原因」と発表して話題になった方です。

藤野先生は、脳の疲労の研究から認知症へも影響を与える、ある物質にたどり着きます。その物質とは、プラズマローゲンと呼ばれる抗酸化作用を持ったリン脂質の一種です。

プラズマローゲンは、哺乳類動物のすべての体内にある物資で、脳神経細胞、心筋、リンパ球、マクロファージ等に含まれて抗酸化機能を担っており、脳疲労にも深く関わっています。

アルツハイマー患者の血液を調べてみると、プラズマローゲンが減少していることがわかりました。そこで、プラズマローゲンを投与することで、認知機能が改善するのではないかと仮説をたてマウス実験を繰り返します。

その結果、脳内の生理機能を改善し、脳内の情報の伝達がスムーズになり、海馬神経の新生やβアミロイド蛋白の蓄積抑制などの効果があることが判明します。

しかし、プラズマローゲンは鶏の胸肉などに含まれていますが、高純度のプラズマローゲンを抽出するのは難しく、大量に必要となる臨床試験には難しいとされていました。

藤野先生は、抽出法を4年かけて研究し、鶏やホタテ貝から高純度のプラズマローゲンの大量生成に成功します。

認知機能障害を持つ40名の臨床試験で、プラズマローゲンを6カ月の投与した結果、半数の人に認知機能の改善効果がみられました。藤野先生の研究成果は、認知症予防や治療薬として、今世界中から注目されています。

藤野武彦先生のプラズマローゲンによる認知症治療の研究は、H27年2月8日放送 TBS「夢の扉+」でも紹介されました。番組内で、藤野先生は「脳科学で明るい未来を作りたい・・」「子供の未来の扉を開きたい」と語っていました。

長寿命になっても、認知機能障害で生きているのは、本人も家族も本当にツライものです。
1日も早く、認知症治療薬が完成してほしいですね。

藤野先生は、現在臨床を行うため参加者を募集しているようです。
<下記情報は、一般社団法人 プラズマローゲン研究会サイトより抜粋>

認知症に対する「プラズマローゲン(pls)含有食品」の臨床試験

【募集期間】 2014年11月~2015年3月

【募集人数】 400名

【対 象 者】 医師が適当と判断した認知症(軽度認知症又は軽度認知障害)の方で、月に1回
7ヶ月間 実施医療機関に通院が可能で、家族(施設等)の協力が得られる方。
60歳以上85歳以下の方(日本国籍の方)

【お問い合先】一般社団法人 プラズマローゲン研究会 TEL:092-273-2411