認知症といえば、加齢によっておこる「アルツハイマー病」が有名ですが、40~50代前後の働き盛りになる「ピック病」という認知症があります。

アルツハイマーは、大脳の萎縮により記憶障害が起こりますが、ピック病の場合には、前頭側頭野の萎縮により人格障害がおこり全く別人のようになってしまいます。

ピック病

発症率は、アルツハイマー病の1/3~1/10と言われ男女の発生差なく、若い年代に発症します。

記憶力や計算力の低下は見られずない変わりに万引きや軽犯罪などの反社会行動や、急に怒鳴りだすなどの感情の変化、髪を食べるなどの異常行動同じ言葉を繰り返すなどの滞続言語、などの症状を示します。

よく50歳前後の管理職の方が、万引きなどで捕まることがありますが、ピック病が原因のケースもあるといいます。

ピック病は、原因や治療法はまだ、確立されておらず、発症してから2~8年で、衰弱し死亡すると言われています。

予防はできませんが、やはり早期発見、早期治療が基本。そこで、ピック病の代表的な症状の説明をしてくれます。

人格障害がおこり全く別人のようになるピック病

アルツハイマー型とピック病の違い

アルツハイマー型は、海馬、側頭葉、頭頂葉など、脳の後ろの方が侵される病気です。記憶障害をおこしたり、自分の居場所を認識する機能が低下します。

前頭側頭型のピック病は、前頭葉、側頭葉など、脳の前のほうが侵され、興味、ヤル気、意欲を維持していく機能や、人の心を推し量ったり、共感する機能を失っていきます。

ピック病は、記憶や行動には問題がないため、認知症とわからず治療が送れてしまうことが多いそうです。

また、ピック病の独自の行動が一般的に理解されてないため犯罪の加害者になってしまったりするケースあります。

ピック病の症状

①行動をコントロールできない
②同じ行動を繰り返す

ピック病の症状が重くなってくると・・

・突然激昂する
自分が繰り返す行動パターンを乱されると突然、怒りだしてしまいます。

・なんでも口に入れてしまう
口唇傾向といい、赤ちゃんのように本能的に口に入れてしまいます。自分の髪の毛を、むしって食べることもあります。

ピック病4つの危険信号

①うつ病と間違いやすい
ヤル気、意欲、興味がなくなるので、うつ病と間違えやすいです。

②突然食の好みが変わる
甘いものを食べ続ける、特定なものだけを食べ続けるなど食の好みが突然変わります。

③同じもを大量に買う
豆腐や大根など、同じものを毎日買ってきてしまいます。

④我慢ができなくなる
自分の欲望を抑えきれず、本能のまま行動するようになります。本人には、悪いことをしているという意識はありません。

ピック病介護の厳しい現実

①1日睡眠時間3時間の厳しい監視生活
②周囲からの行動の理解が得られない。万引きや、勝手に他人の家に上がり込んでしまう。
③認知症の介護施設でもピック病を扱ってくれ施設が少ない

現段階では、ピック病に対する有効な治療法は見つかってません。

番組では、奥さんがピック病にかかり、旦那さんが一人で支え続けてきた夫婦が紹介されてました。おかしいと思い色々な病院へ連れていきましたが、ピック病と診断されるまで3年かかってしまったそうです。

その間、症状はどんどん進行し、一時は奥さんを殺して、自分も楽になろうと思ったそうです。でも、「43年一緒に暮らし、いつも笑顔だった妻の笑顔をもう一度見たい・・」と思い直し頑張ってられました。

奥さんは、今は、ピック病を扱ってくれる施設に入っていますが、旦那さんは毎日施設に通い、奥さんの大好きだった公園へ毎日連れていって写真をとっているそうです。

「何の治療法もないけど、自分ができる一番いい治療法がこれなんです」と、旦那さんは、やさしく微笑んでいました。

脳の病気に悩む人は、今後どんどん増えてきます。一刻も早く、治療法が見つかって欲しいですね。