第二の人生で輝いているシニアのご紹介です。
洋裁が得意な女性、渡辺友子さん(当時64歳)は、高齢者を対象とした「背中の丸い人向け」の服を作り、これが大ヒット。
当初、月に800万円を売り上げました。
2010年には、東京・世田谷に「マダムトモコ」をオープン。
その後は順調に売り上げを伸ばし、今では立派な経営者として輝いています。
起業のキッカケ
背中の丸い人向けの服を作るきっかけは、骨粗しょう症で背中が丸くなった姑の米寿のお祝いに、ブラウスとスカートを作ってプレゼントしたことです。
その服は姑に大変喜ばれたそうです。
高齢者の女性は、骨粗しょう症になるリスクが高く、背中が丸くなる傾向にあります。
こうなると、一般の服では、背中が持ち上がって丈が足りなくなりアンバランスになります。
ここに目を付けた渡辺さんは、独自の製法で背中が曲がっている人でも背中にたっぷりのふくらみを持たせることで安心して着られる服を作りました。
これが大ヒット。
背中の丸い人向けの服は、口コミやインターネット、カタログ販売で実績を伸ばし、顧客は7年間で1万人を突破、現在では2万人に達しています。
世田谷に「マダムトコモ」をオープン
渡辺友子さんの作る洋服の企画、制作、販売をしているのは、武石麗子社長。考案者、渡辺友子さんの娘さんです。
渡辺友子さんはその会社の副社長として働いています。
高齢者の服、とりわけ骨粗しょう症など疾病を患う女性向けの服は、機能を優先している服が多く、おしゃれな服はありませんでした。
そこで、背中が丸くても、病気があっても、おしゃれに装えることを重視した服作りを目標に経営を進めてきました。
加齢による身体の変化や衰えをカバーしながらも、「いつまでもおしゃれに」と言う視点は、シニア女性にとってはとても嬉しいですね。
シニアと言っても女性は女性。いくつになっても若々しくオシャレでいたいのが本音ですが、どこかで諦めてしまう人もいるのではないでしょうか。
マダムトモコの婦人服のコンセプトは、シニアミセスの変化したスタイルに寄り添った設計です。
マダムトモコの洋服は、渡部副社長が考案して特許を取得した製法で作られています。
肩繰りの後ろ身ごろに3本のタックを入れることで、背中の丸みに対応することが特徴です。
これにより、裾が持ち上がらず背中が見えてしまうことがなくなりました。
ブラウスにとどまらずパンツやフォーマルスーツまで
「前かがみになった腰をすっぽり包み込むパンツを作ってあげたかった」とうたっているように、高齢者のブラウスにとどまらず、パンツやフォーマルスーツまで提供しています。
このような服はありそうでなかなか探すのが大変です。
そこがヒットの要因でしょうね。
誰もが悩んでいることに対して、ちょっとした発案で解消してあげる。これがビジネスに繋がった例です。
普段何気なく過ごしている日常の中にもビジネスのヒントはたくさん隠れているのだと思います。
そこに気が付いて行動してみることが、起業への第一歩ではないでしょうか。