定年60歳を迎え、老後は孫に囲まれてのんびり幸せに老後を過ごせると、今から20年程前までは誰もが信じていました。

しかし、バブルが弾け、リーマンショックにより多くの企業の倒産と大量のリストラで、雇用状況は一変しました。

さらに、これからは少子化と高齢化社会の波により、年金制度そのものが崩壊しようとしています。

jukunen

今の日本は、「長生したいけど、お金がない」という歪んだ先進国の姿があるような気がします。

老後をゆとりある生活で生きていくためには、「月37万円が必要」という民間企業の調査データがよく使われています。

私は、このような数字こそが、一層人々の不安を煽っているような気がします。月37万円という金額は、40代の一流企業の課長職の手取り金額です。額面でいうと45万円程度でしょうか・・。

それで、家のローン、家族の食費、教育費、医療など、すべてまかなえる金額です。

その金額が、どうして老後に必要となるのか・・。何を根拠に、ゆとりの生活の目安の金額とするのか・・

ともすれば、幸せ>37万>不幸せ とも言いたげな論調のマスコミの姿に、いつも首をかしげてしまいます。

資金面ばかりのゆとりではなく、「本当の意味のゆとりとは何か」ということを、論議してくれることをNHKさんに期待しています。

若い人から熟年世代までの人たちが集まり、熟年世代に対して、以下のような情報とトークがありました。

退職後の再就職

今、団塊の世代の人たちが続々退職しています。

皆さん身体も気力が元気で、まだまだ働きたいと思っていますが再就職することはまったく不可能なのが現状です。

ハローワークでは、自分の枠やキャリアを活かしたいなどの希望を下げることをアドバイスされます。

・雇用延長で残っても、伝票整理など自分とはまったく違った仕事を与えられるのは耐えられない。

・清掃会社向けに就職する人への講習会では、働きたい退職熟年者が、いっぱい訪れます。

・就職会社の常務を勤めてたが、キャリアを活かす道はなく駐輪場の整理をしてたが、その契約も打ち切られた

・60歳以上の継続雇用を選択したが、給料は半分以下で、新入社員の息子の給料と同じ。

・子供がまだ学生だし、住宅ローンを80歳まで抱えていて働かざるをえない。

65歳雇用制度

年金の受給期間の延長に伴い、65歳雇用を義務付けました。しかし、その代償のように、若年の正規雇用者が減っています。

つまり、雇用の奪い合いが高齢者と若年で起きているのです。

・若い世代は、はじめから守ってくれるものもない。

・熟年世代は、今まで企業で保護されていた世代、それが突然荒野に放り出され戸惑っているだけ。

・この話しは、ある世代の上の男性正社員の話し、それだけで超恵まれていると思う。

・熟年が働くことは、若い世代の負担を減らせるし経済が活性化するので、積極的に働くべきである。

・現状は、明日生きるためにどうするかの話し。雇用のない人にとっては、将来的な体制の話しでなく今。

熟年世代の職場での問題(会社の人たちの声)

・パソコンがまったくできない
・会議の時、横やりを入れてくる
・前いた部署に偉そうに電話をしている

・すべて上から目線が抜けない
・昔の肩書のついた名刺を渡している人もいる
・同じ60歳の人の態度に大きな差がある

・5年過ごしてもらうためにお金を払うシステムは変
・管理職の扱いが難しい
・まったく新しいことやトレンドを知らない
・電話にでない、ツメを切る、偉そうにしている

どうあるべきか

・企業でじゃまな理由と、家庭でじゃまな理由はいっしょ。

・プライドや過去の栄光にとらわれず、かわいく愛される男性になってほしい。

・組織や権力は、企業のものであり個人のものでない、それを錯覚している人が多すぎる

・自分自身の評価と他人の評価のギャップに素直に気がつく必要がある。

・今まで企業でも守られてきた人と、守られていない人では環境が違い過ぎる。

・日本国内だけじゃなく、海外にもその解決を見出すべき。

プチ就労

千葉県柏で行っているプチ就労は、東京大学 柏の葉キャンパスの企画で始まりました。

正規雇用として認められない、ちょっとした隙間の仕事を退職者にお願いするシステムだそうです。

そば打ちはすぐに飽きてしまいます。大切なのは今日行く(きょいく)と今日用(きょうよう)が大切。

田舎にも住まいを構えるプチ移住

田舎の空き家などを整備して、都会から住んでもらう制度です。

都会で生活するより、生活費が安くすむということで人気。田舎でも、街の活気がでて経済効果もあり双方にメリットがあります。

夫婦が仲がよく、老後資金に余裕のある人の生活でNHKらしい情報だとの参加者からの声がありました。

確かに熟年世代は、企業に守られ無事退職金をもらい、減っているといいながらも、年金を生涯もらい生活できる世代です。

問題は、その後に続く世代です。生涯設計モデルが崩れてしまった社会の中で、どのように立ち向かい、人生をまっとうすればいいのか・・。

雇用、賃金、結婚、子供、家族のあり方、高度成長モデルとは違う「高齢化少子化社会時代」の生涯設計モデルは、いつできるのでしょうか。