延命 この言葉の意味は大きいですね。ちょうど私たちの世代の親の年齢は、80歳~90歳になっておりどちらの家庭でも、介護の何らかのお世話になっていることと思います。。
動けなくなった親を、病院もうけいれてくれない、介護施設も、料金や空き部屋の問題があり利用できない。
国では、在宅医療を推進していますが、動けなくなった親を看取るためには、専任で家に誰かがいないといけないことになります。
でも現実的には、仕事のこともあるだろし、体力的に親を抱きかかえることもできす、どうすればいいのか・・・で悩み苦しんでいるのが本当の現実の姿ではないでしょうか。
今回のテーマにある、胃ろうの問題があるとさらに複雑になります。簡単、手間がかからない、嚥下の問題がないなど、確かに胃瘻には、様々なメリットがあります。
しかし、それは、看護する側のメリットであって、はたして本人にとってどんな意味があるのでしょうか・・。
あと20年すれば、私たちも当事者として、その現実に真正面から向かい合わなければなりません。
自分の人生、子供への負担、国への負担、生きることの大切さ、そして、延命による人生に、何の価値があるのか・・・
今回を機会に、改めてしっかり考えてみたいと思います。
胃ろうと延命
胃ろうは、いつの間にか本人が望まない延命になってないかをしっかり考えていく必要があります。
胃ろうを始めてしまうと、やめさせることの決断を迫られるから、胃ろうはやめるように、子供さんに話している方もいます。
神奈川県横浜市住宅型有料老人ホーム「あっとほーむ希」
この施設は、胃瘻の人だけが入れる老人ホームです。入所するにはには、脳梗塞で寝たきりになった人だけ、胃ろうの人だけという条件になっています。
50代~90代まで16人が入院しています。
この施設を作ったのは、近くにある総合病院です。費用は1ヶ月13万円だそうです。開設しましたが、現状は採算をとるのは難しいといいます。
朝5時と夕方4時の2回 2時間かけて胃ろうで800キロカロリーの栄養を供給しています。
お母さんとはしっかり会話ができ、週に2~3回訪れる人に話を聞いたところ独身でフルタイムで働いているため母を見れなくなったためと言います。
もう一つの理由が、特別養護老人ホームにいて食事ができないため入院して胃ろうに変えたところ、特別養護老人ホーム戻れなくなったそうです。
胃瘻の受け入れ場所がないことにつけこんだ、床ずれしてもほっておかれる、悪質な施設もあるので注意が必要だということです。
別の患者さんのお母さんは、87歳でほとんど眠ったままです。週一回きていますが、母はおそらく何も気がついていないと語ります。
人の世話を受けることが嫌いだった母は、延命治療だけはしないでと語ってたそうですが、胃ろうは延命ではないだろうかと、この頃悩むそうです。
また、もう誰も来なくなった人もいて、死んだ時に知らせてくれとだけの患者さんもいます。
胃ろうは取り付けることも取り外すこともできます。
胃ろう中止に関するガイドライン
日本老年医学会では、「胃ろう中止に関するガイドライン」を設けました。
(1)医師による週末期の診断
(2)本人の意思
(3)本人にとって中止が最善であるか
ということだそうです。
施設の中には、様々な人生が集約されています。延命は100人いれば、100通りの考え方があります。
だからこそ、本人と家族とでしっかり話しておかないといけないとテーマだといいます。
日本には、尊厳死の法律が検討されようとしていますが、尊厳死ができると「生きたいのだけれど遠慮して言い出せない」という逆な意味のことが起こる可能性がでてしまうという危惧もあります。
「逝き方を考えることは、生きることを考えることである。」生きて意思のしっかりしている時に、家族としっかり話しておくことが必要ですね。