2015年2月21日、坂東三津五郎さんがすい臓がんのため59歳で亡くなりました。2012年12月に、中村勘三郎さんが57歳で亡くなり、そのわずか2年3ヶ月後のことです。

歌舞伎界を背負っていた二人を立て続けに失ったことは、日本の伝統文化においてもあまりにも、ほんとうに大きな損失となりました。

二人は同じ環境に生まれた同級生として、切磋琢磨しながら人生のほとんどを共に歩んできたそうです。

自分の人生のレールが生まれた時から決まっている人生、幼少より厳しい稽古の毎日、歌舞伎という特殊な環境での生活、お家制度・・。その中で悩み苦しみ、恋をし結婚し、伝統を継ぐ使命感や重みに、踏ん張りながら生きてきたのだと思います。

3時間を越える舞台を2舞台も3舞台もこなし、夜はお付き合いをし豪快に遊び、自らの芸を磨き後継者を育てる時間をつくることが課せられていたとすると、きっと肉体的に大きな負担になっていたのかもしれませんね。

でもその分、普通の人より何10倍も密の濃い人生を送られて逝ったのだと思います。

三津五郎さんは、城好きとして有名で本を出版されているほどの方です。

亡くなるほんの1週間前の2月15日、BS朝日の「坂東三津五郎がいく 日本の城ミステリー紀行」で大好きな「伊予松山城天守」を元気な姿で紹介してくれました。

三津五郎さんは、再建された「伊予松山城天守」を見て本当にうれしそうでした。あの笑顔は、もう見れないのですね・・。ご冥福をお祈り申し上げます。