交通事故や転倒、けがで脊髄を損傷し、歩けなくなった人が沢山います。
現在、脊髄損傷の患者数は国内20万人、年に5000人づつ増えているそうです。
パラリンピック目指して頑張っているアスリートの方の中にも、事故で脊髄を痛め車椅子生活になってしまった方も多いですよね。
脊髄は一度損傷してしまうと回復手段をもたないため、歩けなくなるなどの強い障害が一生残ります。
しかし、「傷ついた脊髄を再生する」本格的な医療が、ついにはじまります。
2018年幹細胞を使った脊髄の再生医療がスタート
脊髄損傷の再生医療をスタートさせるのは、医薬品、医療機器メーカーのニプロ。
透析装置や人工心肺、医療検査装置、薬、注射剤などをつくる日本の医療精密機器メーカーです。
ニプロでは、2014年より札幌医科大学と、幹細胞を使った再生医療の分野で共同で研究開発をしてきました。
2018年に計画されているのは、「自家骨髄間葉系幹細胞(STR01)による脊髄損傷の治療」です。
培養した幹細胞が損傷部に集まり損傷部を再生
この治療法は、患者自身の幹細胞を取り出して1万倍に培養し、再び体内に戻すことで脊髄の損傷部分の修復を図るというものです。
まず、患者自身の骨髄にある間葉系幹細胞を取り出し、体外で1万倍に増殖させます。
増殖した幹細胞は、静脈から点滴などで再び体内に戻されます。
幹細胞は、体内の傷ついた場所に集まる性質があるため、損傷した脊髄に集まり神経を再生していきます。
神経が再生されれば、脳と再びつながるようになり、遮断されていた機能の回復が期待できるようになります。
使われる幹細胞は「間葉系幹細胞」といい、脳神経や血管、中枢神経にも適応できるため、いろいろな病気に応用できるようです。
現在、ニプロでは脳梗塞の分野でも臨床試験を進めているそうです。
問題は、量産体制ができていないこと。今は手作業でやっているため、年間100人分程度しかつくれない状態だそうです。
技術の進化は早いですから、きっと数年後には量産体制が整い、全国の病院で治療が受けられるようになると思います。
脊髄損傷により障害をもつ人は多いので、一刻も早く正式な治療として普及して欲しいですね。
いよいよ、本格的な再生医療の時代が始まるんですね。