今や大きな病院では女性専用の尿漏れ外来(女性泌尿器科)「ウロギネコロジーセンター」が開設されています。

ウロギネコロジーは、泌尿器科の「ウロロジー」、婦人科の「ギネコロジー」、直腸肛門外科の「コロレクタルサージェリー」の3つを合わせた造語です。

ウロギネコロジーセンターとは、女性泌尿器科のことで、主に尿漏れなどに対応しています。泌尿器科、婦人科、直腸肛門科を学んだ医師たちで設立された専門外来です。

ここには、臓器脱や尿漏れに悩む女性たちが全国から集まります。

尿漏れは、圧倒的に女性が多く、太っている人の方がなりやすいと言われています。

太っている人は内臓脂肪が付きやすく、付いてしまった内臓脂肪が子宮や膀胱を押して、臓器が下垂してしまうのです。

尿漏れは、加齢も原因ですが、最も大きいのが「出産」です。子どもを産む際、骨盤底筋をむりやり開くことになり傷ついてしまうのです。

尿漏れの治療は、薬、骨盤底筋体操、手術などがあります。子宮脱や膀胱脱など臓器脱など重症の場合は、手術をすることになります。

今回は、みんなの家庭の医学で紹介された「ウロギネコロジーセンターでのメッシュ手術法」をご紹介します。

ウロギネコロジーセンターでの最先端手術「メッシュ」

メッシュ手術法は、熟練した技術と指の感を必要とする手術です。ここでは、千葉県鴨川市にある「亀田総合病院」で行われるメッシュ手術法をご紹介します。

手術には、メッシュ状のシートが使われることからこの名が付いています。

手術はお腹に小さな4つの穴を開け、腹腔鏡で行われます。

4つの穴から差し込まれた器具で押し潰されくっついてしまった「膀胱」「子宮」「直腸」を離し間を広げます。

そこにメッシュ状のシートを差し込み子宮を包みます。そのメッシュの端を背骨の靭帯にくくり付けることで子宮が元の位置に戻り、それにつられて膀胱と直腸が自然に元の位置に戻ります。

この手術の画期的な事は、痛みが少なく回復が早いことです。また、長期的な臓器脱の再発率は従来法の30%~40%に比べ1~2%と非常に低いのが特徴です。

番組で紹介された女性

番組で紹介された女性は、はじめ軽い尿漏れを感じました。恥ずかしくて誰にも相談できなかった女性は、生理用ナプキンを当てて対処していましたが、そのうち、尿漏れの回数も量もだんだんと増えてきました。

心配になった女性は産婦人科を訪ねます。診察の結果、少し子宮が下がっていると言うことで「ペッサリー」と言う器具を膣に挿入し子宮を持ち上げることにしました。

このペッサリーには、相性があるようで、会わない人には違和感や痛みが生じ、最終的には外すことになります。

この女性も、ペッサリーが違和感から痛みに代わり、1か月我慢しましたが外すことになりました。

それからも尿漏れに悩み続けていたある日、股に違和感を感じた女性がトイレで触ってみたところ、ウズラの卵ほどの何かが股から飛び出していました。

それは日に日に大きくなり、鶏の卵ほどになりました。その飛び出していた臓器は、なんと「膀胱」でした。

もうどうして良いか分からなくなっていた頃、臓器脱と尿漏れに悩んでいた友人が手術を受けて回復した病院を紹介してくれました。

それが、亀田総合病院の「ウロギネコロジーセンター」でした。

メッシュ手術は、メッシュで包んだ子宮を固定する微妙な位置が重要です。亀田総合病院の野村昌良医師は、メッシュの固定位置を膣に指を入れて探ります。

これこそが、長年の経験値から最適な位置を探り出す技で、医師の技量が問われところです。最適な位置が見つかるとそこでメッシュを固定します。

手術は約2時間で終了。5日間のリハビリを受けたのち退院します。

今まで外出すらままならなかった女性は、2週間後に夫婦で久しぶりに散歩に出かけられるほど回復しました。