政府が積極的に推進している在宅医療。蓄えのない私たちにとっては、とっても難しい問題がありますよね。

私の母は83歳になった時から、ひざ痛のため自力で歩けなくなりました。母の一番の悩みはトイレでした。トイレに行くときに介添えが必要なため、夜中でも誰かを起こさないといけません。

母の体重は60kg近くあったので、介添えする側も倒れそうになり、ひやっとすることが何度もありました。介護する側も60近い年齢ですから、寄りかかられると体重を支えきれず腰に大きな負担がかかります。

介護

周りに面倒をかけたくない母にとって、それは心の大きな負担でした。自力歩行ができなくなって1ヶ月、どうしても施設に入りたいといいだし、介護付き老人ホームに移ることになりました。

そんな現実に、本当に在宅医療が可能なのか、どうすれば実現できるのかなど、私たちは不安でいっぱいです。

在宅医療だけでなく介護そのものが不透明で、手続き、体制、費用について、あまりにも複雑でなかなか理解できません。

施設に入ろうと思って調べても、退職金と年金の金額を狙い撃ちしたような料金体形と、施設側都合の解約条件が小さな文字で記載された契約書の内容に愕然とします。

私たちは、複雑なシステムからチョイスする老後ではなく、だれでも安心して暮らせるシンプルな老後生活のモデルを望んでいるのです。

日本の介護崩壊か?なんてニュースばかりでなく、明るい老後の話題に沸く時代を、早く作り上げてほしいですよね。

H27年2月14日放送 Eテレ「チョイス@病気になったとき」では、在宅医療の仕方、費用、医師の探し方、意外な長所や問題点などのチョイスを教えてくれました。

在宅医療でアルツハイマーが改善

在宅医療でアルツハイマーが改善

アルツハイマー型認知症の男性は、感情もなく無口になり、娘の顔さえ忘れてしまってました。しかし、通院から在宅医療に切り替えてから1ヶ月、大きな改善がみられました。

感情も豊かになり感謝の言葉も話せるようになり、植木の手入れもできるようになったそうです。

これは、在宅医療に切り替えることで、患者の薬の飲み方や自宅の生活を、医師が直接判断し診療できるようになったためだといいます。医師は、患者の生活をみて、薬の量を減らしたそうです。

その結果、男性の症状はみるみる良くなりました。介護する家族も、病院での診療と違い医師に何でも話せるようになったため精神的に、本当に安心して楽になったそうです。

在宅介護で通院する場合の負担

在宅介護を行う場合、通院して診てもらうには、大変な労力が必要となります。

①まず車イスに乗せる
②介護タクシーを呼ぶ
③診療まで30から40分待つ
④薬、会計まで1時間
⑤介護タクシーを呼ぶ
⑥自宅で寝せる

一度の通院で3時間~4時間かかり、患者さんも病院へ連れて行く家族もクタクタになってしまいます。通院で体調を崩し病院へ行けなくなる人もいるそうです。

そういう方には、ぜひ在宅医療を検討してみてください。精神的にも肉体的にも負担が減るばかりか、通院医療より安い費用ですむ場合もあります。

在宅医療は・・

医師 週に1回、月に2回程度往診してくれます。また、在宅医療の場合には、24時間365日体制で対応することになっているそうです。看護師は、週1、2回適期的に訪問してくれます。

●在宅医療のメリット・デメリット

【患者さんメリット】
・通院の負担がない
・緊急時や不安なときも相談できる
・適切な病院を紹介してもらえる

【医師側メリット】
・自宅の様子を診られる
・薬の調整ができる
・本人だけでなく、家族の世数もわかる

【デメリット】
高度な検査、治療は難しい

訪問医療でできる医療

・医療 医師・看護師・薬剤師・歯科医師
・介護 ホームヘルパー
・診療内容
血液・尿検査 心電図 超音波検査 薬の処方 注射 点滴 経管栄養
人工呼吸 尿道カテーテル 在宅リハビリ 終末期医療

アルツハイマーの男性の医療費(保険負担3割、介護1割)

①在宅医療
医療費 1.9万円
歯科  0.38万円
薬代  0.86万円
合計  3.14万円

②通院
医療費 0.12万円
歯科  0.15万円
薬代  0.86万円
介護タクシー 1.2万円
合計  2.3万円

在宅医療と通院の医療費を比較すると、通院のほうが8400円安くなります。

しかし、保険負担金が1割になると在宅の医療費合計は1.05万円 通院は1.57万円となるため、在宅医療の方が4200円安くなります。

この家族の場合には、上記①の3.14万円の医療費に
訪問介護費  0.16万円
デイケア   2.7万円
介護レンタル 0.8万円
の合計3.66万年円を加えて、1ケ月6.8万円の出費だそうです。

寝たきり男性の場合の在宅医療費(保険負担1割、介護1割)

要介護5の35万円を目一杯使っての費用です。
・訪問介護    3.2万円
・ショートスティ 22万円
・リハビリ     5万円
・介護福祉用品レンタル費 5万円
合計    35.2万円
自己負担金 3.52万円(1割負担)

ケアマネージャー(介護支援専門員)の役割

どんな介護サービスを受けるか取りまとめてくれます。また、在宅医療を受ける場合には、介護で受けられる予算内での計画や医療機関との調整をしてくれます。

在宅医療を医師を探すには

①ケアマネージャーに相談する
通常は要支援の段階で、ケアマネージャーとのお付き合いがあるので、
段階があがるときに相談するといいそうです。

②地域の医師会に相談する
市町村には、地域の医師会がありますので、そこで紹介してもらえます。

医師と相性が良くない場合には

・ケアマネージャーに相談することで変えてもらうことができるそうです。

ケアマネージャーと相性が良くない場合には

市町村の福祉課に相談してみてください。交換してくれることが可能だそうです。

在宅医療は、原則として日本全国でどこでも受けられますが、在宅医療を行ってくれる医師がいれば・・という現状だそうです。