近年、めまいを訴える患者さんが急増しているそうです。そのうちの7割が女性です。めまいの治療をしても、なかなか治らない人は、「新型めまい」の可能性があります。
訴える患者さんの多い2つのめまいは、洗濯物を干した時に起こる「景色がふわふわするめまい」、朝起きた時に起こる「天井がゆっくり回るめまい」などです。
一口にめまいと言っても、
●平衡感覚の異常
●脳の異常
●ストレスによる自律神経の異常
と様々な原因が考えられます。
めまいの正体を解き明かす重要なキーワードは、「頭痛」でした。新型めまいは、前庭性偏頭痛(ぜんていせいへんずつう)が原因のめまいで、2013年に報告されたまだまた新しい疾病です。
前庭性偏頭痛(ぜんていせいへんずつう)とは・・
前庭性偏頭痛は、従来持っていたという偏頭痛の一種です。この病を診断したのは、帝京大学医学部付属 溝口病院 耳鼻咽喉科 教授 室伏利久先生です。
室伏先生の説明によると偏頭痛が起こる仕組みは、ストレスなどで三叉神経から、神経ペプチドと言う神経伝達物質が過剰に分泌します。
過剰に分泌した神経ペプチドが血管を拡張し、神経が過敏になると、偏頭痛が起こります。
神経ペプチドは、平衡感覚を司る器官にも過剰に作用します。
これにより、誤った情報が脳に伝わり、バランスに異常ありと脳が勘違いし、めまいが起こると言う仕組みです。
つまり、新型めまいの正体は、脳の勘違いなのです。
このタイプのめまいで、原因がわからず、苦しんでいる人が多いのは、偏頭痛が日常的になり、病気の一部と考えていない人がいるからだそうです。
約840万人いる偏頭痛患者で、めまいが起きたら、前庭性偏頭痛(ぜんていせいへんずつう)を疑うことが大切だと先生は言います。
前庭性偏頭痛は、国際頭痛学会が制定する国際頭痛分類で、昨年認められた新しい病です。耳鼻科医の間でも、まだ、あまり知られていないのが現状だそうです。
偏頭痛持ちの方が、めまいを感じたら、普通の耳鼻科ではなく、専門医を受診することをお勧めするそうです。