突然お腹が痛くなる・・誰もが経験することですよね。

お腹が痛い原因は、本当に千差万別で、私などは、食べ過ぎ、食あたり、冷えで、しょっちゅうお腹を痛くしています。

そのため、お腹の痛みには慣れてしまい、いつも様子見をしてしまいますが、痛みの判断を誤ると命にも関わる病気もあるので注意が必要です。

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NHK「ドクターG」で紹介した21歳男性のケースでは、お腹の痛みと思っていたら、もう少し遅かったら男性機能を失うという怖い病気でした。

福井大学医学部 林寛之先生が研修医を導きます。

椅子から落ちるほどの突然の痛み

施設で子供の誕生会の準備をしていた時に、腹痛が始まりました。

1時頃に我慢できなくなり、トイレに行ったところ最初硬い便がでて、それから柔らかい便がドッーとでました。

それから吐き気があり、嘔吐もしました。右下腹部が痛くて、19時頃倒れてしまいました。

●患者さんへの問診
痛みの感じ・・ズーンとした右下腹部の痛みで、だんだん悪くなっている感じがする。

前にも、お腹が痛いことがありましたが、こんなに痛いのははじめて。

昼頃下痢をしました。最初は硬い便が少し、それから柔らかいのがドバーッという感じ。

昨日の夜は外食で、イカの刺身、焼き鳥など、結構たくさん食べました。

●触診
右下腹部を押した時に痛く、押した手をパッと離しても痛みは変わらない。

歩くとお腹に痛みが少し響く、足の関節痛なし、鼠径部の腫れもなし。

お腹以外にいたいところは別になし。

前にも似たような痛みがありましたが、こんなに痛いのははじめて。

その時には自然に治ったので、病院には行かなかった。

●バイタルデータ
21歳男性 施設のスタッフ
体温 37.0度
血圧 142/76
脈拍 90回/分
呼吸数 20回/分
SpO2 97%

ファーストカンファレンス

●虫垂炎 
小腸と大腸のつなぎ目にある盲腸に炎症が起こる病気。
腹痛、発熱、嘔吐などの症状が現れます。虫垂は体の中で動くので、痛む場所もさまざま。処置がおくれ虫垂が破れると、死に至ることがあります。

●メッケル憩室炎
胎児のときに母親から栄養を送りこむためにあった管が、うまれた後に残ったもので、炎症が起こると虫垂炎と同じような症状が現れます。

下痢、腹痛、嘔吐の順に症状がおきているため、ウィルス性胃腸炎はない。ウィルス性胃腸炎は、ウィルス増殖し、胃の働きが止まる、吐き気、嘔吐、それから下痢と上から順にくるので該当しない。

同じような痛みが以前にもあった

前にも同じような痛みがあったことから、繰り返し起こる病気を絞り込む。

【病歴】
・2ヶ月前にも子供と遊んでいる時に痛みがあり30分程で治った。
・来院2週間前に同じような痛みがあり、1時間ほどしたら治った。

尿管結石
尿管結石の痛みの特徴は、ずーっと痛みがある中で痛みの波があるのが特徴。

精巣捻転
精子をつくる精巣が回転し血管などがねじれてしまう病気。精巣に血が通わなくなり激痛がおこる。下腹部が痛むこともあり、吐くこともある。

腹部エコーで腹部の状態の約8割が診断できるので、まずは腹部エコーで診断する。それで原因が見つからないときにCT診断をする。

腹部エコーを実施した結果、盲腸、肝臓、腎臓も異常なしだった。

最終診断は精巣捻転

患者に状況を説明し、パンツを下げてもらって精巣を触診したところ、患者に激痛が走りました。

精巣捻転
精巣と腹部の神経は、末梢神経でつながっているため、関連痛が起こることがあります。

以前あった同じような痛みは、ねじれが少なかったため自然にもとに戻ったと考えられます。

精巣捻転は、6時間以内なら精巣機能助けることができますが、12時間経過すると男性機能は死んでしまいます。

患者さんは、緊急で手術をして、ねじれを解消し完治したそうです。