飲み会が続いたり、食べ過ぎてしまうと、翌日胃がもたれたり胸焼けが起こったりします。
胸焼けは胃液が逆流して、食道の粘膜が炎症してしまうことで起こります。
通常は、胃のつなぎ目の弁がしっかり閉じていて胃液の逆流を防いでいますが、食べ過ぎや加齢などにより、弁の働きが弱ってくると、胃のものが逆流してしまいます。
胃液は、肉や野菜でも溶かしてしまう強力な酸ですから、食道に上がってしまうとあっという間に内部が荒れてしまいます。
結果、胸がチリチリ焼けるように傷んで病院へ行くと「逆流性食道炎」と診断されます。
治療薬として、胃酸分泌抑制剤、消化管運動機能改善剤、制酸剤、粘膜保護剤などが処方されます。
通常はこれらの薬で症状が改善するのですが、薬がまったく効かず、患者の9割の人が女性という病があるようです。
そんな患者さんのケースを、12月15日放送 テレビ朝日「主治医が見つかる診療所」で紹介していました。
胸焼けがするため近くの医院へ行ったところ「逆流性食道炎」と診断され、薬をもらいましたがまったく効かなかったとか・・・。
セカンドオピニオンを受けたところ、逆流性食道炎ではなく、女性しかかからない「ある病」が原因だったそうです。
胸焼けの原因が以外な病気
胸焼けで病院に訪れる人は年々増えていて、15年間で約5倍に急増しています。
原因がよくわからない患者さんがセカンドオピニオンで訪れるのが、兵庫医科大学 三輪洋人先生。先生は、胃腸系の病気の名医です。
病院に訪れた患者さんで、胸の痛みだけの場合先生はまず足を触診します。足がむくんでいた場合には、心臓や腎臓など循環器の異常のことが多いそうです。
そんな先生でも、診断に迷うケースがあるそうです。
生命保険営業をしている43歳の女性の場合、胸の奥がチリチリと焼けるように痛むようになりました。
はじめは市販の胃腸薬で症状が治まってましたが、それでは効かなくなってしまったため近所の医院で内視鏡検査を行ったところ食道の炎症が見つかり、逆流性食道炎と診断されました。
処方された薬を飲んでましたが、喉が痛く渇いたような状態が起きるようになり、さらに寝ているときにマグマに焼かれるような猛烈な痛みがありました。
やがて顔の表情がなくなり声も小さくなってしまいます。
心配した旦那さんがネットで調べ、兵庫医科大学 三輪洋人先生のセカンドオピニオンを受けました。
三輪先生が内視鏡検査を実施したところ、通常の逆流性食道炎では考えられない異常な炎炎症が起きていました。
そこで食道内圧検査を実施したところ、水を飲み込んだときにおこる食道のぜん動運動がまったくないことが判明。
①食事をした後強い胸焼け
②口の開き方が小さい
③顔を触診すると硬く張りがあってつまめない
④手の皮膚も硬くなっている
ことから、全身性強皮症と推測。特殊な血液検査を受けたところ、その病気が確認されました。
全身性強皮症とは、免疫機能が異常を起こして自分の細胞を攻撃してしまう自己免疫疾患です。
傷ついた細胞が再生するとき、コラーゲンが増殖し全身の皮膚や筋肉が硬くなってしまいます。
その結果、食道、幽門などの筋肉も硬くなり、食道に常に胃液が流れこんでいる状態だったのです。
そのため、異常なほどの炎症がおき、胸焼けや痛みを起こしていました。全身性強皮症の国内患者数は約2万人で、患者の9割が女性だそうです。
この病気は適切な治療をすることで、症状を改善することができます。
正しい診断ができないと症状を悪化し、取り返しの付かないことになります。なかなか治らないと思ったら、信頼できる先生のセカンドオピニオンを受けたいですね。