今回の患者さんは、まさしく私たちの世代。
友人や知人など周りの人たちにも手や足が痛むいう声をよく聞きますよね。
ですから、今回の手足の痛みやしびれのタイトルにドキッとしている方も多いはず。
「歳だからしょうがないか・・」と片付けてしまいがちな手足の痛みやしびれ我慢しているいるうちにどんどん症状が悪化してしまうケースもあります。
また、他の病気の影響が手足にでていることもあります。
今回の患者さんのケースの診断をみて、しっかり学んでおきましょう。
手足が痛み体重減少謎の病名
患者さんの症状
仕事一筋で頑張って、めでたく早期退職した58歳の男性。
退職後は、将棋、料理作りに、充実した毎日を送っています。しかし、ここ1ヶ月、明け方になると手が痛むようになってきました。
怪我したわけでもないのに、明け方必ず手が痛み出す。両手がとにかく痛みます。
この1年で20kg体重が減ってきました。食欲もないし、御飯もおいしく感じません。
食欲がなくなったのは、退職してから。下痢や便秘はありません。
おしっこの回数は普通ですが、なんか疲れやすいです。妻の心配で3ヶ月前に人間ドックを徹底して受けたが胃カメラもCTも何でもなし。
最初の手の痛みは血圧を測ったとき、腕が締め付けられ腕にいたみが走りました。その夜からピリピリ痛みだしました。
その痛みを止めるため、水で冷やしてみました。でも、痛みは水よりお湯のほうが楽なんです。
一番痛むのは、明け方。そのため寝るのが怖いんです。
この頃両足の先も痛みます。
痛みは明け方以外に、昼間料理をして鍋をもったとき、息子の心配事をしてたときに起こりました。
それから新聞読んでたとき、数十秒間突然意識がなくなりました。
●この患者さんの診断をアシストしてくれるドクターGは
千葉大医学部附属病院 生坂政臣先生
ファーストカンファレンス
研修医A 関節リウマチ
手足の関節が左右対称におこし、朝の手のこわばり。
中年女性に多い症状です。
研修医B リウマチ性多発筋痛症
肩、腰、太ももの筋肉痛やこわばり。60歳以上の方に多い。
研修医C CIDP(慢性炎症脱髄性多発神経症)
神経が炎症を炎症を起こし、両手足の筋力低下や脱力感。
筋力低下がないので合わない。
その他 頚椎症
首の痛みや両手のしびれ。50歳以上に発症。
セカンドカンファレンス
研修医A 高安病
大動脈や頚動脈に炎症が起こり、炎症や失神が起こる
研修医B POEMS症候群
手足のしびれ、臓器の肥大、皮膚など体全体に症状が起こる
研修医C アミロイドーシス
アミロイドが血管や神経や身体の中に溜まってしまって、様々の障害を起こす病気です。高齢者に多い。手のしびれは、手首にたまって手根管症候群を起こしてしまったのではないか。
最終診断は
手首にアミロイドが溜まって、手根管症候群を起こしていた。手根管症候群とは、むくみ、脂肪、アミロイドの沈着で手根管の中が圧迫され、指、手のひらに痛みやしびれを起こす。
アミロイドが消化器に沈着すると体重減少の現象がおこる。心臓周辺にアミロイドが貯まると失神が起こる可能性がある
よって、最終診断はアミロイドーシスでした。
アミロイドーシスは、認知症にもなり得る病気です。手足の痛みなど油断しないで、しっかり診断して原因を突き止めておきたいですね。