激しい運動のスポーツ選手が、半月板を損傷して選手生命をたたれたなどの話しを聞いたことがあるかと思います。
一般の人でも、O脚やX脚の人は、半月板を損傷しやすく、高齢者になってから痛みで歩けなくなってしまう方がたくさんいます。
日本で、ひざ痛に悩む人は、なんと1800万人もいるそうです。一度ひざ痛になると、痛み止め、サポーター、マッサージ、湿布など、何をしても回復が難しく、決定的な治療法も確立されていませんでした。
その中でも、半月板や軟骨組織は、一度損傷してしまうと自己治癒力がないため回復させるのは不可能とされていました。
半月板は、ひざのお皿の骨の下にあり、大腿骨と脛骨を絆ぐひざ関節の中でクッションの役目をしている大切な軟骨組織です。
その半月板損傷の再生医療に挑戦したのが、東京医科歯科大学 再生医療研究センター 関矢一郎先生です。
関矢先生は、1990年東京医科歯科大学医学部卒業、一時臨床の現場にでたのち、同大学院に戻り軟骨再生医療の研究に取り組みました。
関矢先生は、様々な研究を繰り返すうちに、2002年にもっとも軟骨になりやすい細胞、間葉系幹細胞を見つけました。
間葉系幹細胞は、関節を覆って中に関節液をためている滑膜と呼ばれる包みの組織から見つかりました。
滑膜には、幹細胞や関節の中の組織を修復される力があるそうです。
関矢先生は、滑膜の一部を採取して、自己血清で14日間かけ幹細胞を約5000万個に増やし、すり減った軟骨部分に移植し軟骨の再生を成功させました。
関矢先生の医療技術は、ips細胞と同じ再生医療ですが、自分の組織と血清を使ってつくることができるため効率よく培養でき、身体の負担も費用も安くすることができるそうです。
高齢者が歩けなくなる原因の大部分が、膝や股などの足の関節のトラブルです。
関矢先生の関節組織の再生治療は、単に足の痛みの解消だけでなく、人生そのものを救うことができる医療です。
この治療法は、まだ臨床医療の段階ですが、治療法が確立すれば、1800万人のひざ痛が解消して、何100万人もの人が歩けるようになるのです。
1日も早く、全国の病院で治療ができるようになるといいですね。