オリンピックを前にブラジルでは「ジカ熱」が蔓延し、渡航者に注意を呼びかけています。

ジカ熱は正式には「ジカウイルス感染症」といい、ジカウイルスによって引きおこされる感染症で、アジア、アメリカ、アフリカなどで発生しています。

ヤブカ属のネッタイシマカやヒトスジシマカなどの蚊を介して感染しますが、輸血や性行為で感染する場合もあります。

蚊

感染すると、軽度の発熱、発疹、結膜炎、関節痛、筋肉痛、頭痛、倦怠感などの症状がありますが、症状が軽いため気がつきにくい病気です。

妊婦が感染すると胎児に影響し、小頭症などの子が生まれる可能性が高くなります。また、感染後に、ギラン・バレー症候群などの発症が報告されています。

NHK「総合診療医ドクターG」では、「ジカ熱」をとりあげました。

ブラジル帰りの患者3人が来院 赤い発疹と微熱が

感染症の専門医であるドクターの元に、ブラジル旅行から帰国したばかりの患者3人が、次々と訪ねてきました。

いずれの患者も赤い発疹と軽い熱があり、そのうち1人は妊娠しています。もし妊婦がジカ熱に感染していたら、胎児に重い障害を残す可能性があります。

ジカ熱の潜伏期間は、数日から一週間程度。症状は2~7日間程度で治まります。はたして、訪ねてきた患者に「ジカ熱」感染者はいたのでしょうか。

病院を訪れたのは、以下の3人です。いずれも、1週間くらいのブラジルへの渡航歴があります。

【ジカ熱疑いで来院した3名の患者】
①33歳女性 旅行代理店勤務 妊娠5週目
・体温 37.4度・血圧 128/85・脈拍 82回/分
・渡航期間 3/1~3/9→発症3/10
・症状~皮疹○・下痢○・結膜充血○・関節痛○・咽頭痛☓

②21歳女性 学生
・体温 38度・血圧 115/75・脈拍 96回/分
・渡航期間 3/2~3/11→発症3/13
・症状~皮疹○・下痢☓・結膜充血?・関節痛○・咽頭痛○

③34歳男性 ブラジル料理経営
・体温 37.4度・血圧 134/80・脈拍 76回/分
・渡航期間 3/1~3/11→発症3/13
・症状~皮疹○・下痢☓・結膜充血○・関節痛○・咽頭痛☓

ジカ熱を見極めるポイント

●ジカ熱の判断基準
ジカ熱は、以下のような症状で判断されます。

【ジカ熱の判断基準】
・潜伏期間・・・2~7日
・熱・・・・・・ほとんど38.5℃未満
・皮疹・・・・○ 90% 頻度が高い
・下痢・・・・△ 10% 頻度が低い
・結膜充血・・○ 60%以上 頻度が高い
・関節痛・・・○ 60% 頻度 高い
・咽頭痛・・・☓ 5%以下 頻度低い

【ジカ熱見極めるポイント】
①発熱から皮疹が何日目にでたのか
 デング熱は、通常は発症するとすぐに出ます。

②ジカ熱と似た他の熱帯感染症の可能性はどうか
 デング熱、チクングニア熱、マラリア、レストスピラ症、黄熱、リケッチア症、腸チフスなど

③発症してから皮疹が何日後にでたのか
 デング熱の皮疹は、発熱から4~7日後に皮疹がでる

妊娠中にジカ熱に感染すると、胎児の脳神経の成長が妨げられ小頭症の子供が生まれる確率は1万人に95人(通常の50倍)に高まるので妊婦は特に注意が必要です。

これらの診断と血液検査を実施した結果から
33歳の女性(妊婦)は、デングウィルス陽性・・「デング熱」
21歳女学生は、EBウィルス陽性・・「伝染性単核球症」
4歳ブラジル料理経営男性は、ジカウィルス陽性・・「ジカ熱」
であることが判明しました。

オリンピック観戦のためブラジルに行かれる方は注意してくださいね。

予防の第一は刺されないこと ヒトスジシマカは日中に活動

ジカ熱やデング熱にかからないようにするには、蚊にさされないようにするのが第一です。

ヒトスジシマカは夜より日中積極的に活動します。屋外に出かけるときには、蚊に刺されないように対策してください。

(以下情報参考:政府広報オンライン)

●蚊に刺されないための対策
・肌を露出しない長袖、長ズボンを着用する
・素足でのサンダル履きを避ける
・白など薄い色のシャツやズボンを選ぶ(蚊は色の濃いものに近づく傾向がある)
・露出する部分には虫除けスプレーなどを使い、蚊を寄せ付けないようにする
・蚊取り線香などを使って蚊を近づけない