すい臓がんが発見されたときは、かなり進行していて治療は難しいと言われています。

では、定期的に検査すればすい臓の異変を早期発見できるかといえば、すい臓は胃などの他の臓器の陰にあるため、発見が難しいといいます。

shujtu

2015年2月、59歳の若さで亡くなられた阪東三津五郎さんの場合は、2013年7月にすい臓に異常が発見されてから、わずか1年半で亡くなってしまいました。

2012年12月には親友であり、盟友の中村勘三郎さんが食道がんで亡くなっていますから、三津五郎さんもがんに対して徹底した検査や対策をしていたと思うのになぜ?と思ってしまいますよね。

それだけ、すい臓がんの発見や治療は難しいということです。では、どうすればすい臓をまもり、異常を発見できるでしょうか。

5月9日放送のEテレ「チョイス@病気になったとき」、すい臓のまとめスペシャルでは、すい炎、すい臓がんの早期発見法、病気になったときの対処法など、命の危険を脅かす、すい臓に関するチョイスを教えてくれます。

ここから番組内容です

急性すい炎

4年前チュートリアルの福田充徳さんは、急性すい炎で大変な思いをしました。

お酒が大好きな福田さは、正月の休みに朝昼晩、毎日お酒を飲んでいたそうです。そうした生活を1週間続けた頃、内蔵を剣山で叩かれるような痛みに襲われました。

ヘタしたら死ぬかもしれないと覚悟し、マネージャーに連れられて病院へ行き、くだされた診断は「急性すい炎」でした。

急性すい炎は、消化液であるすい液がどんどん分泌されてしまい、すい臓自身を溶かしてしまう恐ろしい病気です。

原因のほとんどは、アルコールです。福田さんは入院3週間、その後自宅療養1ヶ月を治療に費やしました。

すい炎の働きは、インスリンと消化液(すい液)の分泌です。インスリンは血糖を調整するホルモンで、すい液は炭水化物、脂肪、タンパク質を消化吸収するために分泌される消化液です。

アルコールを飲むと、大量のすい液が分泌されます。アルコールで分泌されたすい液には粘りがあり、すい液の出口も狭めてしまいます。その結果、すい液がすい臓の中に大量に溜まり、すい臓を溶かしてしまうのです。

●治療法
すい炎治療のチョイス
①何も食べない、何も飲まない(絶食、絶飲)
消化液を分泌させないために、絶食、絶飲を1週間続けます。その間の栄養は、点滴で補います。

●急性すい炎の症状
・みぞおちの痛み、背中の痛み(特に飲食数時間後)
・大量に飲酒

慢性すい炎

飲酒を毎日20年間続けていた寿司職人の方は、まったく痛みも違和感もなかったそうです。あるとき、検査で調べてもらったら、すい臓が紙のようにペラペラで全く機能してない状態でがんにならない方が不思議だと告げられました。

もう一度お酒を飲んだら、確実にがんになると言われ、その後お酒をやめ、インスリンと薬を飲み続けているそうです。

●慢性すい炎の症状
・みぞおち、背中の痛みが続く
・長年の飲酒
・急性すい炎になったことがある

●すい炎の検査
すい炎の異常は、超音波検査で確実にチェックすることができます。急性すい炎、慢性すい炎、すい臓がんのほか、肝臓、胆のう、腎臓などもチェックすることができます。

すい臓がん

すい臓がんは、早期発見、転移しやすい、再発しやすいと言われています。また、5年生存率は、他のがんと比べ極端に低く7%にすぎません。

これは、すい臓がんは、周りにいろいろな臓器があるため周りに飛び転移しやすく、すい臓が小さいため染みだして全身にひろがりやすいなどの理由だそうです。

●すい臓がんの自覚症状
・みぞおち、背中の痛み
・黄疸
・糖尿病の発症、または悪化

●すい臓がんの最新治療
術前化学放射線療法
抗がん剤で散っている小さながんを叩き、最新の放射線治療機ですい臓がん小さくしてから手術、
さらに抗がん剤治療を行う最新の治療法です。全部で1年近くかかるそうです。

①抗がん剤と放射線治療機でがん小さくする(1ヶ月半)
②それから、すい臓の1/3、胆のう、十二指腸を切除
③手術後さらに、抗がん剤の治療を行います。(6ヶ月間)

すい臓がんへの放射線治療は、他の臓器がじゃまをしてしまいできませんでしたが、最新の治療器では、すい臓をピンポイントで攻撃できるためできるようになったそうです。

術前化学放射線療法は、転移がなく体力のある人が適用となり、全部の人にできる治療法ではないそうです。
また、その施設を持っている病院が、まだ限られています。(番組では、東京都立駒込病院での手術を紹介してました。)

早期発見法

見つけにくいすい臓の異変を発見すには、超音波検査が有効です。超音波検査は、すい臓がんになる前の段階である膵嚢胞を発見することができます。

発見された膵嚢胞は、超音波内視鏡等で継続的に検診していくことで、すい臓がんへの変異を早期の段階で発見することができます。

ただし、すべての膵嚢胞ががんになるわけではなく、約4割だそうです。

●すい臓がんのリスクが高い人
・膵嚢胞がある
・家族がすい臓がんになった
・糖尿病・慢性すい炎・喫煙

家族がすい臓がんになった人は、定期的に検査を受けてください。腹部超音波検査は、費用5000円(保険適用の場合1500円)で受けることができます。