胃や大腸など内蔵に発症した進行性がんの場合、そのがんと、転移の可能性のあるリンパ節や 隣接する臓器を切除することで再発を防ぎます。

しかし、多くの場合に腹膜内に再発してしまいます。進行性がんの再発をいかに食い止めればいいのか・・

滋賀医科大学 消化器外科 村田聡先生は、5年生存率3割という進行性がんの再発に、 独自の手術法で挑みます。

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その方法とは、切除した後術中に内蔵をじゃぶじゃぶと洗浄してしまう 「腹腔内温熱化学療法(HIPEC)」です。

このHIPECは革命的な手術法として、滋賀医科大学谷教授を中心とした消化器外科チームの手で床試験が進められています。

その先頭にたつのは村田聡先生です。

進行性胃がんの場合手術後の再発率が高く、ステージlllBの場合患部を全部摘出したとしても再発してしまい5年生存率は31%だそうです。

再発は、がん細胞が腹膜内に散らばってしまうためと言われており、がんの拡散は手術前、切除している手術中の双方に可能性があります。

そこで村田先生のチームが行う方法とは、 手術で腫瘍を取り去った後、生理食塩水に複数の抗がん剤を加え 42℃に加熱し、腹膜内を30分にわたり洗浄します。

これにより、腹膜内に拡散していた目に見えないがん細胞が 死滅し、ステージlllBの5年生存率は77.9%と生存率が飛躍的に高まりました。

まずは肉眼で確認できるガンを全部摘出します。通常ならこの段階でお腹をキレイにし縫合するのですがHIPECはここから始まります。

お湯の温度を42~43度に保持しながら、お腹全体を洗います。そして、3種類の抗がん剤をいれてさらに洗います。この抗がん剤は、点滴などの濃度の70~80倍の濃さです。

石川先生は、見えないけどそこにがん細胞がいる、いつも治ってくれと祈るような気持ちで内蔵を洗浄しているそうです。

この手術を受けた男性の手術の時間は9時間30分。今では元気に生活しています。