最近、高齢者問題をテーマにする番組が増えてきましたよね。NHKスペシャルの「老人漂流社会」などをみていると、日本の高齢者のけっして明るくない現状と未来が見えてきます。
身体が動かなくなり、寝たきりになったとき、自分は生きがいを見いだせるのかどうか、とても不安に感じてしまいますね。
私の家は、いわゆるガン家系なので、これまでに、何人ものガンを見届けてきました。
ガンが発見され、手術、抗癌剤治療をして、5年生存率をクリアした人もいれば、クリアできず残念な結果に終わった人もいます。
抗癌剤は、ガンであるかないかを問わず増殖する細胞を徹底的に叩きつぶしていきます。
そのため、身体に対する負担はとても大きく、体力もみるみる間に消耗していくのも事実です。
抗癌剤治療は、3~4週間を1クールとして繰りかえし行われ、抗癌剤を投与してから数日で絶不調となり2週間ほどして徐々に回復。
回復してきて楽になったと思ったら次の投与で、また絶不調。その繰り返しに精神的な苦痛も大きく、途中で止めてしまった人を何人も知っています。
でも、「見えないガンを叩く方法はそれしかない」と言われればその治療の意味も、強力な薬剤の投与も理解できます。
今回、金スマに登場するドクター、近藤誠先生は、『がん治療で殺されない七つの秘訣』を書いて、医学界から猛反発を受けました。
その内容は、「早期発見、早期治療とばかり小さなガンを見つけて、手術や抗がん剤治療をするのは、逆に命を縮めている。最高の延命策は何もしないこと。」
また、「医者に殺されない47の心得」の本は、ベストセラーに。
近藤誠先生は66歳。慶應義塾大学医学部を主席で卒業しがん放射線治療を専門としていた人です。ガンも医者の世界も知り尽くした人だからある種の説得力があります。
私たちはそれが正解かどうかはまったくわかりません。きっと、数十年後の未来の医学界が結論をだしてくれると思います。
近藤誠医師が語るガンと医療の世界 金スマ
「がんは切るな・見つけるな」の持論の基、ガンは原則放置した方が良いと言う意見を持ち続ける近藤先生。
癌には、「進行が早いがん」、「進行の遅いがん」、「消えるがん」など様々で「本物」か「もどき」が二次元論で判断できるものではないと言います。
●がんの手術は命を縮める
●抗がん剤は9割の癌で延命効果がない
●胃がんや食道がん、子宮がんのような固形がんには抗がん剤は効かない
●急性白血病や悪性リンパ腫などの血液がんには抗がん剤で治る可能性がある
●固形がんでも睾丸腫瘍・子宮絨毛ガン・小児がんは抗がん剤で治る可能性がある
これが、近藤先生の見解です。
このような見解があるなか、「早期発見した進行がん」でも患者が治療を断り放置を選択し、手遅れになったケースもあります。
近藤医師の考えに対して、疑問を投げかける医師もいます。「抗がん剤は効かないの罪」の筆者 勝俣 範之 医師です。
勝俣医師は、「すべての抗がん剤が100%効果がないと言うわけではありません。効果がある場合もありますし、効果がない場合もあるのです。単独で完治させてしまうような薬はまだ少ないのが現状ですが、少しずつではあっても明らかに抗がん剤は進歩しています。」
「抗がん剤の延命効果は、肺がん、胃がん、大腸がん、婦人科がんなどほとんどの固形がんで示されるようになりました。抗がん剤治療は、副作用によってQOL(生活の質)を低下させることは間違いないので、治療によって得られる延命効果とうまく天秤にかけて、患者さんと相談する必要があります。」
「抗がん剤はやめなさいと声高に、しかも一方的に主張するのは、患者さんの希望を無視した押し付けでしかないのではないでしょうか。」
と語っています。
このように、近藤医師の説は色々な波紋を呼んでいますが、定年した現在も持論を曲げずに情報を発信し続けています。
近藤医師は、「患者よ、がんと闘うな」で「がんもどき理論」を詳しく説明しています。
私たちは、どちらを信じれば良いか、時として迷うこともあるかと思います。自分で選んだ道を行き、どんな結果になっても後悔することのない人生を送りたいものです。