重粒子線によるがんの治療に挑む、群馬大学教授 中野隆史さん。

中野さんは、命懸けで群馬大学に重粒子線の最新治療設備をつくりました。その情熱の源は、お父さんを中学のとき、ガンで亡くしたことだそうです。

重粒子線治療とは、メスを入れずに、炭素イオン線をガンに照射してがん細胞を殺傷する局所療法です。

ポイントは、正常細胞へダメージをあたえないよう、いかに正確にがん細胞に照射できるか・・そのためには、ミリ以下の精度が必要だといいます。

患者は、ただベットの上で横になっているだけ。照射時間も1~2分で、痛みもまったくありません。

重粒子線の治療は、エックス線、ガンマ線、陽子線などの放射線治療に比べ、表面での放射線量が弱く、がん細胞への直接ダメージが強いという特徴があります。

そのため、照射回数も少なくてすみ、副作用も最小限で治療期間も短くてすむという理想的な治療といわれています。

日本では、1994年より重粒子線治療による臨床試験を行っておりその臨床数においても世界をリードしているそうです。

2013年5月には 佐賀県鳥栖市に群馬県と同じシステムを使った、九州国際重粒子線がん治療センターで治療がスタートするそうです。

外科的手術も必要なく、がん細胞をピンポイントで狙い撃ちし日常生活にも支障がない夢の治療法に向かって、中野さんはミリ以下の精度に向かって研究を続けています。

現在、重粒子線治療を行っているのは
・独立行政法人放射線医学総合研究所 (千葉県千葉市)
・兵庫県立粒子線医療センター(兵庫県たつの市)
・群馬大学重粒子線医学研究センター(群馬県前橋市)

重粒子線治療は、大掛かりな設備が必要で120億円ほどかかるため誰でも受けられるようになるためには、まだまだ時間がかかりそうです。

粒子線治療は保険適応ではないため、費用は300万円前後かかりますが保険の「先進医療特約付き保険」に加入しているとカバーされるようです。

治療の適応条件や、適応疾患が細かく設定されているようですから受診されたい方は、一度重粒子線治療病院へ問い合わせしてみてはいかがでしょうか?

独立行政法人放射線医学総合研究所のホームページには、治療や問い合わせの方法が詳しく書かれています。