大阪、関西空港のを見下ろすタワービルの14階に、血管内治療専門の診療所「ゲートタワーIGTクリニック」があります。
この診療所で治療を受けているのは、がんの再発や転移などをして、これまでの治療では難しいと判断された末期がんの患者さんたちです。
しかし、そんな雰囲気を見せないほど、みなさん明るい表情です。
それは、このクリニックで堀 信一先生が行う動脈塞栓(そくせん)術に希望を見出しているからです。
動脈塞栓術とは、血管を詰まらせガンに栄養がいかないように塞いでしまい兵糧攻めにしてしまう治療法で、動脈や静脈にカテーテルとういう細い管を挿入して治療を行います。
よく知られているのは、心筋梗塞など血栓が詰まり細くなった血管を拡張させる血管拡張術ですが、
動脈塞栓術は、その逆で血管を詰まらせてしまう治療法です。
堀 信一先生は、動脈塞栓術によりガン治療を行うという画期的な治療を確立させました。
ガンの治療は、早期発見、早期治療が基本で、早い段階なら高い確率で完治することができるようになりました。
しかし、進行の早いガンや再発ガン、転移したガンなどは治療が難しく、経過を見守るしかできない患者さんが、現在でも数多くいます。
堀先生は、そのような患者さんに、血管を塞ぎガンへの栄養を断つという兵糧攻めを行い、ガンの腫瘍が育つのを阻止したり、壊死させる治療法を行っているのです。
この動脈塞栓術は、これまでは肝臓ガンの治療で行われてきましたが、それ以外の部位では血管が細く複雑で難しく不可能とされてきました。
堀先生は、独自のマイクロカテーテルと塞栓物質を開発し、頭部と脊髄以外のほとんどのがんに対して、動脈塞栓術の治療を行います。
手術は、大腿の付け根にある動脈から、マイクロカテーテルを挿入し、血管造影装置とCTで透視しながらカテーテルをがんのある部位に運び、塞栓物質を放出します。
塞栓物質は、高吸水性ポリマーでできた球状のもので、血管を確実に塞いでガンへの栄養供給を断ち切ります。
また、塞栓物質に抗がん剤を吸着させ少しづつ放出させて、治療効果を高めることもできます。
動脈塞栓術は開腹手術に比べて体の負担が少なく、手術後3~4時間後には歩くことも可能です。
堀先生は、「この治療法は、命が脅かされない状況をつくり、なくべく楽に長生きできるための新たな治療法」と考えているそうです。
堀先生は、『安心と、未来への希望を得られるのが、本当の医療』との考えのもと、動脈塞栓術と新たながん治療に対する考え方を世界中に拡げるため若い医師や海外からの研修医も受け入れています。
堀先生の治療は、「夢の扉」(TBS)『世界が注目!がんをピンポイントで“兵糧攻め”!』で紹介されました。