一昔前までは、がんの宣告は死そのものを意味しました。そのため、本人への「がん告知」が社会問題とさえなっていました。
しかし、癌は早期発見なら治せるようになり、本人に告知し前向きな治療を行う時代となりました。
しかし、進行性のがんや、たちの悪いがん、再発癌に対してはまだ完全な治療を行うことは難しく、いかに生存率を高めるかという言葉で語られています。
このような難病性のがんに対して、最新科学と技術により挑む人がいます。
・がん細胞だけを狙い撃ちできる最新放射線治療
・軍事技術も応用した最新鋭マシン
・がん細胞を死滅させるウイルス
これらの技術により癌完治まで、あと一歩のところまで迫りつつつある、日本の医療現場の最先端の情報です。
BNCTによる最先端の中性子治療
10年以上前の悪性脳腫瘍が再発した50代の女性。大きさは6cm、脳にしみこむように広がっているため手術できない状態です。
大阪医科大学付属病院 脳神経外科 宮武伸一先生は彼女に対して余命3ヶ月を宣言しました。
彼女は、最後の治療として、最先端のBNCTを選択しました。
治療する場所は、京都大学原子炉実験所です。この原子炉を使って20年がん治療の研究をしているのが、京都大学 小野公二教授です。
使うのは、中性子を使っての治療です。まず、ホウ素化合物を点滴で体内に取り込みホウ素をがん細胞に集めます。そこへ、中性子を当てがんを破壊します。
この治療により、女性の6cmあった脳腫瘍がほとんど消えていました。
この中性子による治療法は、まだ研究段階で正式な治療法として認められていません。
また、中性子をつくるため原子炉が必要なので一般の病院には配置できません。
そこで、住友重機が開発したのがAVFサイクロトロンです。この装置は、原子炉を必要とせず、中性子を作り出すことができます。
このBNCT加速器は、福島県郡山市の南東北病院に国内ではじめて採用され、来年完成する予定です。
BNCTによる治療は2018年までの承認を目指しているそうです。
放射線治療ロボット サイバーナイフ
サイバーナイフは、がんを放射線を照射して攻撃する放射線治療のロボットです。
がんや腫瘍の位置を正確に測定し、最大1200の方向からがんを狙い打ちします。治療時間は30~40分 痛みはなく数回の治療で終わります。
骨など動きの少ない場所には効果があるのですが、呼吸器系などの動きのある場所には弱かったそうです。
しかし、最新のサイバーナイフは呼吸系の動きを正確に追いかけがんを攻撃します。
最新のサイバーナイフは川崎市 新百合ヶ丘総合病院、山梨県春日居サイバーナイフ・リハビリ病院を含め国内で8台動いています。
HF10ヘルペスウィルスによるがん治療
HF10はヘルペスウィルスの一種で、正常細胞には感染せずがん細胞を死滅させる特徴があります。
このHF10を発見したのは名古屋大学の西山幸廣教授です。HF10はがんに直接に注射して治療することができます。
タカラバイオは、このHF10の特許を取得し商品化をめざし開発を進めています。
現在は、アメリカで治験を進めており2018年末の実用化を目指しているそうです。