腰痛は、私たち中高年世代にとって、あまりにも身近な病気です。

腰痛に悩む人は、日本で1700万人いるそうですが、中高年世代に限っていえば半数以上の人が悩んでいるのではないでしょうか。

腰痛

歳を重ね筋力が低下すると姿勢が悪くなり、いつの間にか腰痛になるのは当たり前とさえ思っていました。

厄介なのは、何度も再発してしまうこと。ちょっと痛みがなくなったと思っても、数ヶ月するとまた痛みがやってきます。

病院へ行っても、レントゲンを撮り、鎮痛剤、シップ、場合によりコルセットと、治療はいつも同じです。

電気をうけても気休め程度の感じで、治療不信感のままいつしか行かなくなり、そのうちに痛みがおさまってしまいます。

私のようなケースの腰痛の方は、多いのでなないでしょうか。

NHKスペシャルでは、そんな腰痛を最新の脳科学の分野から切り込んでくれました。

最先端の医療現場では、慢性腰痛は脳が痛みを作り出していると結論づけているようです。

ですから、腰痛の不安を解消する映像を見せたり、恐怖心を克服する運動し、脳を納得させただけで腰痛が治ってしまうとか・・。

俳優の笹野高史さんも長年、腰痛に悩んでいて、あらゆる手段をつくし治そうとしたそうですがダメだったそうです。

笹野さんの腰痛を最新技術で調べたところ、やはり脳がつくりだした幻の痛みだったようです。

その他、たった3秒ある姿勢をとるだけで腰痛が劇的に改善してくれる方法や、手術や薬に頼らない最新の治療法を、NHKスペシャルの視点でしっかり説明してくれました。

腰痛は脳がつくりだす NHKスペシャル

腰痛に悩む人をレントゲンで調べてみると、問題のないケースが多いそうです。

腰痛は、骨と筋肉の異常によっておこります。

一番強い痛みが起こるのがギックリ腰ですが、通常は3ヶ月あればほとんどの場合治ってしまうそうです。

一部のヘルニアがでて神経を圧迫している場合でも、9割が自然に消失してしまうそうです。

しかし、3ヶ月たっても痛みが治らず、検査しても原因が分からないという慢性腰痛の人がいます。

原因は、痛みの回路に興奮をしずめる指令をだす脳のDLPFCという部分が、痛みに対するストレスや恐怖心で萎縮してしまい、正常に機能しないことから慢性的な痛みを引き起こしているためです。

つまり、腰はすっかり改善しているのに、脳だけが痛みを記憶し痛みを発し続けている状態です。つまり、慢性的な痛みは幻の痛みです。

ですから、痛みに対する恐怖を取り除き脳のストレスを和らげれば、腰痛は解消することになります。

恐怖やストレスとは、あんな痛みは二度とゴメンだ、また起きたらどうしよう、というような気持ちで、それが腰の痛みを悪化させているのです。

そこで、「脳のストレスを開放することで腰痛が解消するか」の実験を東京大学の協力で行いました。

実験に参加したのは、腰痛に悩む175人。

第一弾として、「腰痛は脳の勘違いである、手術は必要ない。動くことで治ります」という映像を見せてどの程度、腰痛が改善するかろ行ったところ、改善したのは68人(38%)でした。

第二弾として、3秒間の体操をしてもらいました。その体操は簡単なもので、
①お尻に手を当てぐっと押し込むながら背中を反らす。

②フッーと呼吸を止めないで行う、という簡単なもの。

※注意:背中を反らしたとき、腰から膝にかけてしびれが出るときには中止してください。

この動作を2週間、毎日やりながら、脳の腰に対する恐怖心を取り除いていきます。

その結果、新たに32人が改善し、慢性腰痛に悩む人の56%が改善しました。

残りの44%の人に効果のある治療法を行っているのは、オーストラリアです。

オーストラリアでは、腰痛は数週間で自然に治るという番組をテレビで流し、腰痛改善に大きな効果をあげているそうです。

それでも治らない人に行うのが、3週間にわたる心理療法です。カウンセリングと運動を組み込んだ認知行動療法で、脳を改善していきます。

この方法で、多くの腰痛患者の痛みが解消したそうです。プログラム終了後、脳の活動を調べてみると、痛みを開放するDLPFCが活性化されていました。

日本でも、腰痛治療の推奨度として、認知行動療法をグレードAとして位置づけています。

日本腰痛学会理事の菊池臣一先生は、完璧で会心の手術をしても、結果的に何もよくならならなかった。

認知行動療法と運動療法、場合によっては薬物療法を組み合わせた治療が今、理想の腰痛治療だといいます。

この治療法は、今まで治らなかった患者さんを元に治せるかもしれない、新たな可能性を秘めた治療法だといいます。

どうやって腰痛の恐れや恐怖を取り除いていけるか、を医者と相談しながら見つけ、自ら治そう、自ら積極的に立ち向かうことが腰痛改善の道だといいます。

菊池先生が学長を務める福島県立医大では、腰痛治療における認知行動療法を積極的に取り入れよう体制づくりをはじめているそうです。