たけしのみんなの家庭の医学で紹介された奇跡の手術で患者さんを救うスーパードクター。

その中で、脳に脳動脈瘤がありいつくも膜下出血が起きてもおかしくない女性を最新の手術「フローダイバーター」で救ったスーパードクターが紹介されました。

この手術を執刀できるのは日本には10人ほどしかいないそうです。

脳動脈瘤の手術

今回番組で紹介されたのは、兵庫医科大学病院の吉村紳一先生です。

先生は、1日3件ほどの手術を執刀し、3000件以上の治療を行ってきた脳外科手術のスペシャリストです。

番組で紹介された女性は、60代の女性。脳の血管に直径約1cmのコブがありました。それは、元の血管の倍以上の大型のコブでした。

大型のコブが破裂し、くも膜下出血を起こせば命の保証はありません。

女性は、数年前から高血圧を気にするようになりました。ある日、左目だけが暗く見えたことがありました。10分ほど休んでいると元の明るさに戻ったので、その時は疲れているだけと思いました。

その後、視界の左下だけ靄がかかっているように見えることがありました。視界の左下だけがぼやけて良く見えません。そこで眼科を受診しましたが、異常は見つかりませんでした。

その後、脳外神経外科を受診し、脳のMRI検査を受けました。そこで大きな脳動脈瘤が見つかりました。

脳動脈瘤とは、脳の動脈が何らかの原因でこぶ状に膨らむ病気で、主な原因は高血圧、喫煙、飲酒と言われています。

女性の場合、動脈瘤が左目の視神経を圧迫し、左目の視野が暗くなったり左下がぼやけるなどの症状が起こっていました。

脳動脈瘤の一般的な治療は、カテーテルによるコイル治療、開頭手術をするなどがあります。

コイルを使う治療は、コブのある血管までカテーテルを通し、動脈瘤にコイルを詰めることでコブに血液が流れ込まないようにし、こぶの破裂を防ぐ方法です。

開頭手術は、外科手術で頭蓋骨を開き、こぶのある血管をクリップでふさぎ、血管の迂回路を作り、コブのある場所に血液が流れないようにします。

女性の場合は、脳動脈瘤が脳のもっとも深い場所にあり、視神経を圧迫していることから、どちらの治療もできませんでした。

そこで、最後の望みをかけた治療が、「フローダイバーター」でした。

「フローダイバーター」の手術

フローダイバーターとは、直径4mmほどの伸縮性と柔軟性が高いメッシュ状の小さな金属の筒です。女性が受けた最新手術とは、このフローダイバーターを使い、カテーテルで血管の内側から行う治療法です。

直径3mm、直径1.5mm、直径1mmと3種類の太さのカテーテルを使います。少しでもリスクを減らすため、複数の管を使い作業を進めます。

まず、太ももを通る動脈から一番太いカテーテルを挿入します。通り道のガイドとなるワイヤーを入れます。

中程度のカテーテルを脳動脈瘤の手前まで挿入します。その後、一番細いカテーテルを挿入し、フローダイバーターを設置します。

フローダイバーターは、直径1mm以下の極細の状態でカテーテルの内側に収納されます。その後、外側のカテーテルを引き抜くと元の太さまで戻る仕組みになっています。

フローダイバーターは、血管の形にぴったりと沿わせるため、カテーテルを駆使し出しては押すを繰り返し、微妙な隙間もなくします。

これにより、脳動脈瘤への血液が遮断されるので、できたコブはだんだん小さくなりやがてなくなります。

フローダイバーターは、脳動脈瘤の最終兵器と言われ、日本では昨年から実施された最新治療です。早く全国の病院でできるようになって欲しいですね。