毎日のように「認知症」と言う言葉を目にするこの頃。ちょっとした物忘れ、言葉が出ない、ボ~とするなどの症状があるとそろそろ来るのかな?と不安に思うのは私だけではないと思います。

今回の夢の扉では、千葉大学大学院の大武美保子准教授の新しい認知症予防法が紹介されます。

ぎんさんの娘さんの会話からヒントを得た大武美保子さんは、写真を取り入れた『共想法』と言う新たな認知症予防法を開発します。

そう言えば、ぎんさんの娘さんたちは、その年齢とは思えないほどユーモアに富んだ会話が弾み、話題も豊富でよく笑いますよね。

共想法とは、話すことと聞くことをバランスよく行い、双方向会話を発生させる支援技術です。それに写真のメリットを取り入れます。

写真は、何もしなければ忘れてしまうことを記録に残しその写真をきっかけに会話の力を引き出せると言います。

これは、認知症の進行や予防に画期的な効果があるそうです。今や、予備軍も含めて800万人と言われる認知症、良い結果が出ているものは、なんでも実践してみたいですね。

認知症を予防する簡単なトレーニング

①片手でペンを持ち、それを目の高さから落とし、もう一方の手でつかむ

②10円玉3枚と100円玉3枚を用意しバラバラに置き、目をつぶって
硬貨の感触を頼りに手探りで硬貨の種類を分ける

③負けじゃんけん
相手の出した手を見て、負ける方の手を出す

ポイントは、脳を甘やかさず鍛えること。

認知症になる人とならない人の差が一番大きいのが、「人と交わる」ことだと専門家は言います。つまり「会話を持つ」ことが大切なんですね。それが、楽しい会話だったりすると、もっともっと脳は活性化するそうです。

ところが、最近では、一人暮らしの高齢者が年々増加し、言葉を交わす機会が減っています。これも認知症が増える一因と言われています。

会話の力を証明する実験をしました。ある男性72歳の脳波をはかります。何も会話していないときは、薄いブルーです。通常の会話をすると薄赤になります。ところが、写真を見ながら会話をすると脳がもっと赤くなり活性化するのが分かります。

写真+会話で脳を活性化させるやり方

各自が持ち寄った写真を見て、写真について1分ほど自由に話します。次に参加者が順番に写真について質問をし、会話を進めていきます。シンプルなルールなのに会話が弾みます。

写真に映し出された視覚情報が、脳を刺激し、様々な記憶を呼び起こし、活発な会話へと繋がると言います。

写真を見ながら、ともに想像し合うこのメソッドを「共想法」と言います。

大武さんは、東京大学卒、典型的な理系女でした。人と接することより研究することの方が好きだったと言います。

その大武さんを認知症研究に駆り立てたのは、大武さんの祖母です。大武さんの祖母は認知症になり、家族すら分からなくなりました。

そんな祖母に昔の着物姿の写真を見せた途端、目が輝き、色々な話を始めたそうです。記憶もよみがえり、スラスラと話だしたことで、人間の脳は計り知れないと思ったそうです。

そして行き着いたのが、認知症予防のためのメソッド「共想法」でした。

また、大武さんは、ぎんさんの娘さんたちの会話から笑顔の法則を発見します。面白い話を見逃さずに、笑いを起こすことができれば、会話は盛り上がり認知症予防につながると考えます。

そこで、笑顔を誘うロボット「ぼのちゃん」を開発します。

ぼのちゃんは、その場にいる人たちの顔をカメラでとらえ、口角の上がり方などから、「笑顔度」を測定します。一定の値を超えると、「アハハハ」と笑い出します。これで、会話が盛り上がると言います。

大武さんの研究に協力する高齢者の一人は、共想法を始める前は、忘れぽかったり、なんとなく頭の中がモヤモヤしていたのが今では、そのモヤモヤがすっかりなくなり、頭の中がすっきりした感じがすると言います。

「歳をとるのが怖くない社会を作りたい」大武さんの研究は、まだまだ続きます。