神戸市立医療センター中央市民病院の坂井信幸先生は、体重101kg、阪神タイガースと卵焼きをこよなく愛する天才脳神経外科医です。

坂井先生は、脳梗塞や脳動脈瘤の疾患に対して、カテーテルを使って開頭せずに手術を行います。

その手術方法は、コイル塞栓術。

コイル塞栓術とは、カテーテルを血管に差し込み動脈瘤をコイルで埋めてしまうことにより、瘤の破裂を防ぐ超高度な手術法です。

その成功を支えるのは、天才的な指先の感覚。

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まずは、カテーテルを血管内に入れ込みます。カテーテルは、わずか3分ほどに脳に到達し、さらに、その先の細い脳血管を通り瘤まで到達させます。

そして、カテーテルを通して動脈瘤の中にコイルを送りこみ、瘤いっぱいまでコイルを詰め込み防いでしまうことにより瘤の破裂を防ぎます。

この手術法は、ちょっとしたカテーテルの動作ミスも瘤の中にコイルを埋め込みが充分でない場合にも、動脈瘤が破裂し命を落とすことになります。

つまり、医師にとっても大変リスクの高い手術法になります。それでも坂井先生は、この難しい手術方法に挑みます。

コイル塞栓術は、開頭しないためすぐに処置ができる、患者の身体的な負担が少ない、開頭では不可能な場所の治療もできるなど患者にとって多くのメリットがあります。

坂井先生は、このコイル塞栓術で7000人の命を救ってきました。先生の一番の喜びは、患者さんからの「ありがとう」の言葉。

「だから、やめれない」「だから、倒れるまでやるんや」と言います。

1日の睡眠は2、3時間。坂井先生は、自分の人生のすべてをかけて挑みます。