予備軍を入れると成人の5人に1人が糖尿病と言われている日本社会。糖尿病は、すい臓でから分泌されるインスリンの不足により、慢性的に高血糖になった状態です。

糖尿病は動脈硬化を引き起こし、全身への血流を滞らせるため、あらゆる病気の元凶とも言われています。

血糖値を下げる唯一のホルモンは「インスリン」であり、すい臓のみから分泌されると言われてきました。しかし、筋肉の中にも血糖値を下げる同様の物質があることを解明されました。

インスリン以外の「血糖値を下げる効果のある物質」の発見は、実に90年ぶりだそうです。この事実を世界に先駆けて証明したのが、首都大学東京の藤井宜晴教授です。

人間の筋肉には、体を動かすための「骨格筋」、内臓を動かす「平滑筋」、心臓動かす「心筋」があります。骨格筋は自分の意志で動かせる筋肉ですが、平滑筋と心筋は自分の意志で動かせない筋肉です。

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骨格筋は全身で約400種あり、生命を維持する行動を行うための大切な筋肉です。筋肉は単に動くためのパワーを生み出すだけでなく、体の健康維持のための様々なホルモンが分泌することがわかっています。

その一つが、AMPキナーゼという物質です。AMPキナーゼは、筋肉が活性化されると分泌される物質の一つです。

TBS放送「夢の扉+」では、筋肉から分泌されるホルモンを徹底分析し、『筋肉は、健康を生む源の臓器』と語り、その可能性にかける藤井宜晴教授を紹介します。

筋肉から沸くホルモン 夢の扉の情報はここから

血圧を調整するホルモンは腎臓から、女性ホルモンは卵巣からと、ホルモンは臓器でつくられ分泌されるものとされてきました。

しかし、近年の研究で、筋肉から20種類ものホルモンが分泌されることがわかってきました。そのホルモンは、体の中で錆びついた物質を除去してくれたり、老化を防ぎ寿命を25%伸ばす効果があるそうです。

また、呼吸器疾患では、筋肉量が少ないと死亡率は2.6倍になると言われています。つまり、筋肉は体を動かすためだけのものではなく、全身の健康を維持する源の臓器となっているのです。

筋力の衰えチェック法

①瓶のフタが開けられない人
握力が低下しています。お風呂の中で、手を素早く握ったり広げたるすることを30回繰り返すと鍛えられます。

②靴下を片足立ちで履けない人
下半身の筋肉が低下しています。親指と人さし指で指輪っかをつくり、ふくらはぎを測ったとき、指が重なる人は筋肉低下のサインです。歯磨きの時、背筋を伸ばして2分間つま先立ちをすると鍛えられます。

筋肉は、がんの発症率低下や、アルツハイマー病、脳卒中、うつ病の予防などにも効果があることがわかってきました。

藤井先生が着目したもう一つがインスリンです。藤井先生が米国で研究しているとき知り合った糖尿病の患者で「サッカーをやりだしたら体調が見違えるように良くなった」という言葉がきっかけだそうです。

その言葉に、「単純に運動が糖尿病に良いだけなく、何か具体的な何かがあるのでは」と、藤井先生は考えたそうです。

藤井先生は日本に戻り、筋肉を徹底的に調べ「全身の筋肉にある物質が血糖値を下げているのでは・・」という仮説をたて研究します。

その研究で発見されたのが、AMPキナーゼという物質です。筋肉を動かしAMPキナーゼを活性化させるとインスリンと同程度の糖の調整機能があることがわかったのです。

インスリンは血液の中で糖を捕らえてエネルギーとして消費させますが、AMPキナーゼは筋肉から糖を捕らえてエネルギーとして消費することができるのです。

この発見は、糖尿病治療の新薬の開発にもつながるとして、今世界中から注目されています。

AMPキナーゼを活性化させる方法

①少し速めのジョギング10分

②スローなジョギング30分

③寝転んでの疲労を感じる程度のダンベル上げ

いずれの方法でもいいそうです。

糖尿病の治療はインスリン注射しかありません。先生の研究で新たな新薬が作られることを、世界中の糖尿病患者は願っています。一刻も早い完成を願います。