高齢になってくると、手が震えてうまく字が書けないという人が多く見受けられます。

歳のせいかなと思っているうちにどんどんひどくなり、字がかけない、箸が使えない、コップが持てないなど、日常生活に支障をきたすようになってしまいます。

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震えの原因は、本態性振戦、パーキンソン病、甲状腺機能亢進症、アルコール依存症などがありますが、特に多いのが、本態性振戦とパーキンソン病です。

本態性振戦は、動作をしているときや特定の姿勢をとったときに、手、頭、声などに速い振戦(ふるえ)がでてくる病気で、それ以外の症状はなく、まだ原因が特定されていません。

高齢者の10人から20人に1人は、本態性震戦があると言われています。これまでの治療は、軽度なものは投薬、重度のものは開頭による外科手術で震える止める装置を埋め込むなどで行っていました。

今回新たに開発された治療法は、超音波を使ったMRgFUS(経頭蓋集束超音波治療器)という治療法で、和昌会貞本病院の脳神経外科と愛媛大学医学部脳神経外科のチームの他、全国の3ヶ所の病院で臨床を行っています。

経頭蓋集束超音波治療器(MRgFUS)とは、MRIのようなマシンから超音波を放出し、ふるえの原因となる細胞へ集中照射することで行います。

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<医療法人和昌会 貞本病院さんのHPよりお借りしました>

頭蓋骨の外部から超音波を集束して細胞に照射し、50度以上の温度で原因となる細胞を熱焼灼してしまうそうです。

集束超音波治療は開頭しないため、患者への負担もなく、治療後の回復も格段に早くなります。

NHKのニュース「おはよう日本」では、集束超音波で本態性振戦の治療を受け症状が改善した男性が紹介されてました。

日常生活に支障をきたしていた男性は、10回の超音波照射を3時間行ったところ、手の震えが大幅に改善。

治療後はふるえは収まり、箸を使って釜揚げうどんを食べれるまでに回復していました。

愛媛大学医学部 大西丘倫教授の話しによりますと、「今回の臨床で10人以上の臨床を行い、症状は概ね改善し、後遺症もほとんど確認されていない」そうです。

集束超音波による本態性振戦の治療は現在は臨床の段階で、国の承認を得られるのは、来年以降の見通しだそうです。

この集束超音波治療は、今後、難治性の脳腫瘍や認知症治療への展開も予定されているそうです。

集束超音波治療器による治療は、現在は、全国3ヶ所の病院で臨床を行っています。

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