加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)、私たちの年代になると、身近で怖い病気として聞かれるようになりました。
加齢により、網膜の中心にある黄斑と呼ばれる場所に異常がおこり失明を起こす病気として知られています。
現在は、まだ決定的な治療法は確立されておらず失明する患者数は、世界に1億2000万人もいるそうです。
アメリカ・シアトル アキュセラ社 CEO 窪田良さん(47)は、「この難病の治療薬を開発し、世界の人々の失明の危機から救いたい」その思いから、資金100万円で創薬の世界に飛び込みました。
窪田さんは、1966年兵庫県生まれ。慶應義塾大学医学部、虎の門病院を経て、2000年米国のワシントン大学医学部の助教授として勤務します。
大学院時代には、緑内障原因遺伝子を発見し「須田賞」を受賞。眼科専門医として、緑内障や白内障など1000を超える執刀を行い、名医としてその将来を期待されてました。しかし、その全てを投げ打って、米国で創薬の世界に身を投じました。
「1回の手術によって救えるのは、一人の患者さんだけ。でも、新薬をつくれば世界中の人を失明の危機から救える」
そう決意し、アメリカの自宅の地下室にアキュセラ社を起業しました。その時、窪田さん36歳。薬の開発は、3万回トライしても成功するのが1つあるかというシビアな世界だそうです。
現在、加齢黄斑変性症の90%をしめる「ドライ型」の内服薬が、臨床試験の最終段階にあるそうです。
これまでの注射や点眼剤と違い、飲むことによって治療できる内服薬は、発展途上国や貧困層の人も手軽に治療を受けられるようになると世界中から注目されています。
「今まで目が見えていた人が、当然目が見えなくなった時の衝撃」窪田さんは、その姿を医療現場でイヤと言うほど見てきて、痛切になんとかしなくてはならない、と思ったそうです。
人間の目には、昼間明るいところを見るための細胞と夜見るための暗視カメラのような細胞があるそうです。
ほ乳類の小動物で夜行性だった時に身につけた夜見るための細胞が、明かりで傷つけられて壊れてくることで、目に問題がでてくるそうです。
窪田さんが開発しているのは、暗視型細胞を保護するための化合物つまり、「飲むサングラス」の開発です。
自宅で起業してから11年、資金不足で倒産の危機に何度もあいながら、内服薬による失明予防薬の完成にこぎつけた窪田さん。
窪田さんのパワーの原点は、完全なポジティブシンキング。どんなに苦労しても喉元過ぎれば忘れてしまうそうです。
「這いつくばっても、失明の悲劇をなくしたい。そうして世界を変えたい・・」窪田さんの口癖だそうです。
失明は、本当に辛く大変なもの。特に私たちの年代になってからの失明は、まったく何もできない状態に追い込まれてしまいます。
窪田さんの新薬の開発、今一歩のところまできているそうです。現在、加齢性黄斑変性で悩まれている方、もうすぐですので、頑張ってくださいね。