iPS細胞は、人の万能細胞の一つで、さまざまな細胞へ変化できるため再生医療や新薬の開発への応用が期待されている世界が注目する細胞です。

京都大学 山中伸弥教授の開発した、iPS細胞による「夢の再生治療」は、今、まさに現実になろうとしてます。

世界初の網膜細胞移植

iPS細胞で再生された細胞を移植して治す治療として紹介するのは、加齢が原因で起こる「加齢黄斑変性」という目の病気。

喫煙や肥満、日光などにより、さらにリスクが高まることが知られおり、最悪の場合には失明する怖い病気です。最近、高齢者の多くの方が発症しています。

この治療にiPS細胞から作った、「網膜色素上皮細胞」を移植すると、病気の進行を止めたり、遅らさせたりすることができるそうです。

理化学研究所 網膜再生医療研究プロジェクト 高橋政代先生

皮膚からとったIPS細胞から網膜細胞をつくりことに成功。世界初の人への治療として、2013年度に臨床研究を開始し、3年後には一般の治療を目指しているそうです。

難病治療の最前線

遺伝子の異常で筋肉が次第に骨に変わっていく進行性の難病FOPの患者さん。治療薬をつくるには、患者の筋肉から細胞を取り出し研究することが必要。

京都大学 戸井田淳也教授は、FOPの患者からiPS細胞から取り出し、身体の外で変化の様子を再現することにより治療薬の開発に取り組んでいます。発症件数が少いため研究が困難だった難病が、iPS細胞を使い再現できるようになったため、新薬をつくりやすくなったといいます。

ガン治療への応用

岡山大学の妹尾昌治教授は、ガンの原因となるガン幹細胞をiPS細胞から作り出しました。これにより、再発や転移の原因でもあるガン幹細胞の仕組みを解明することの可能性ができたそうです。
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iPS細胞は、これまでわかっていなかった病気のメカニズムを調べたり有効な薬がなかった病気の治療薬を早く開発したり、体の悪くなった部分を再生医療で取り替えたりする期待される「夢の治療法」です。一刻も早い実現を望みたいですね。