生まれた時から、心臓に問題のある先天性心臓疾患の中でも、極めて難易度の高い病気があります。

左心低形成症候群(さしんていけいせいしょうこうぐん)と呼ばれる先天性の心疾患です。

この病気は、左心房、左室および左室から出ている大動脈が小さい状態。これまでは致死的な先天性心疾患であり、現在でも非常に治療の難しい疾患とされてます。

そのため、この手術に挑む病院は少ないといいます。

岡山大学病院 小児心臓外科医 佐野俊二先生。彼の率いる小児心臓外科チームは この超難関な手術に関して、世界でトップクラスの実力を誇ります。

sano

佐野先生は、心臓に0.1mmの穴を開けるという独自の手術法を開発、その手術法で成功率を9割まで高めました。

心臓に0.1ミリの穴を開けるときに、プツンという音が手に伝わるといいます。 ゴッドハンドだからなせる技です。

病院から不可能と診断された新生児たちが、日本全国から集まります。我が子の最後の望みを託し、 先生のもとに集まってきます。

先生は、この緻密で超高度な手術を 年間300件こなします。逃げない、あきらめない、ごまかさないそれを実践するのが医師の勤めだといいきります。

佐野先生は、心臓に直接穴を開けることにより、これまで3割だった術後生存率を9割まで引き上げました。

今、世界中の医師たちは彼に尊敬を込めてその手術法を「SANO手術」と読んでいるそうです。

今、100人に1人が心臓に問題を抱えて生まれくるそうです。その症状が重ければ重いほど、佐野先生を頼ってきます。

東京から来た3歳の女の子、今まで3度の心臓手術を受けたのですが、最後の手術は難しすぎると断われてしまったそうです。

彼女の病気は左心低形成症候群でした。最後の望みをかけ岡山の佐野先生を訪ねました。

そして、先生の口から最後のフォンタン手術をすることを 約束してもらえました。

先生は「手術が難しいですからと断ったことはない。プロなら逃げない」と言い切ります。

手術は100%と言い切れない。しかし、手術するからには絶対に命を救うために手術に向かうのだと語ります。