中高年になると、ほとんどの人は腰痛に悩まされていますが、その腰痛の原因がどこにあるのか、実は病院で検査してもわからないことが多いそうです。
とはいえ、その腰痛の中には、命を脅かすような腰痛があるので注意が必要です。また腰痛か・・いつものことと、放っておいたら手遅れになることもあるので油断はできません。
がんの痛みや内蔵の痛みが腰痛と現れたり、大動脈乖離などの血管の痛みが腰痛になっていたりすることもあります。これらが原因の場合は、一刻も早い治療が必要です。
また、夜になると起こる腰痛というものもあります。大腸菌などの細菌が、尿道口から侵入して腎盂内で炎症を起こす急性腎盂炎などの痛みが現れることもあります。
見分け方としては、横になっても痛いかどうか腰そのものに原因がある場合、横になれば痛みが和らぎます。
うっかり油断しそうな腰の痛み、危険なものと、そうでないものの見分け方しっかり覚えておきたいですね。
夜出る腰痛の原因は感染性心内膜炎
番組で紹介された女性(70歳)は、夜にだけ出る腰痛がありました。その腰痛は、寝ると起こり、朝起きると痛みが引いていました。
寝ると痛む腰痛が始まってから1か月後、椅子に座ろうとしたとき、その腰痛が現れました。その時から、日中でも背骨の周りをズキズキと差し込む痛みが襲い出しました。
その後、キリを突き付けられたかのような激痛に襲われ、救急車で病院に運ばれました。女性を襲った本当の病は、感染性心内膜炎でした。
感染性心内膜炎は、血液の逆流を防ぐ弁が傷つき、そこに炎症を起こす病気です。炎症を起こす原因は、何らかの細菌です。
歯の治療後や歯槽膿漏、膀胱炎などの細菌が主な原因だと言われていますが、番組で紹介された女性の場合は、便秘が原因でした。
便秘によって腸の中で大量に繁殖した大腸菌が、血液に乗って心臓に達してしまったとみられます。
心臓で増殖し、塊となった細菌は、剥がれ落ちて全身へと運ばれます。すると運ばれた細菌の塊が様々場所で毛細血管につまり、炎症を引き起こします。
運ばれた細菌が最も詰まりやすいところこそ腰椎なのだそうです。細菌が腰痛の毛細血管につまり、腰痛になって現れたのです。
では、なぜ夜だけ現れたのか?それは、腎臓から分泌されるホルモン(コルチゾール)が関係しているといいます。このホルモンは、体内で起こる化膿性の炎症反応を抑える働きがあります。
このホルモンは、時間によって分泌量が変化します。睡眠中から朝にかけて出たホルモンは、日中から夜にかけてどんどん減っていきます。
このホルモンの分泌が少なくなると炎症を抑えられず、腰痛を感じていたそうです。これが夜だけ痛みを感じた原因です。
しかし、このホルモンが痛みを抑えるのも初めのうちだけ。炎症が進むと、このホルモンの働きでは、痛みが抑えきれずに激痛となって女性を襲いました。
もう一つ夜になると出る腰痛で危険な病があります。それは、癌です。特に、すい臓がんや大腸がんなどの場合、腰痛を引き起こすことがあります。
じっとしていても痛い腰痛は、危険な病気が隠れていることがありますので、専門医に相談してみることが大切です。