不妊に悩む人は、どんどん増えています。晩婚化がどんどん進み、子供をつくる年齢も高くなってきています。
年齢が高くなると、生殖能力、内臓機能、体力などが低下し、子供ができにくくなってきます。
自然妊娠ができず、子供がどうしても欲しい場合には、不妊の治療を行うことになります。
不妊治療は、本人があきらめない限り、何度も繰り返し行うことができます。
しかし、その間、受精、着床、流産が繰り返され、女性の母体にも精神面でも大きな負担がかかります。
高齢になるに従い、卵子や精子が老化するためどんどん妊娠が難しくなってきます。
女性が40歳前後になると、不妊治療への終止符の決断が迫られます。最新の研究では、不妊の原因の半分は男性にあるといわれています。
番組では、不妊の原因が夫の無精子症にあることが判明した、夫婦の不妊治療に密着します。
無精子症には、精子はできるけど、精液と混ざることができない閉塞性無精子症と、精子がゼロか極めて少ない量しか作れない非閉塞性無精子症がいます。
この男性の場合には、非閉塞性無精子症のようです。そこで、精巣を切り開いて組織の一部を採取し、精子を探し出す最新の手術を受けることを決意します。
この治療法は、「顕微鏡下精巣精子回収術(MD TESE)」といい、精子が1個でも見つかれば、「顕微授精(ICSI)」によって受精させることが期待される最新の治療法です。
二人の子供が、どうしても欲しい。わずかな望みにかける夫婦の不妊治療から、生命の不思議さ、大切さを考えます。
無精子症治療の最前線
無精子症は日本人男性の100人に1人いるそうです。精子は74日前後で、精巣の中の精細管で作られます。
無精子症には、精子が作られるけど、通り道が閉じられている閉塞性無精子症と、精子が殆ど作られない非閉塞性無精子症があります。
しかし、ほとんどの無精子症は、非閉塞性無精子症だそうです。男性の場合も、非閉塞性でした。
男性が受けたのは、マイクロテセと呼ばれる手術法です。精巣を切開し、状態のよさそうな精細管を採取して、その中から精子を見つけるという手術法です。
この手術法により精子が見つかるのは5人中2人だそうです。しかも、1回精巣を切ってしまうと、その後癒着が激しくなるため、ほとんどチャンスは1回きりだそうです。
手術の成功率は40%、1回きりの勝負となります。
手術は、局所麻酔で行われ、男性も大型モニターをみながら、その様子を確認することができます。
彼の場合には、片側の精巣では、まったく見つかりませんでした。そして残りの精巣を開き、わずかな精子が発見されました。
取り出した精子は、顕微授精で奥さんの卵子と受精させます。男性は、17個の精子が見つかり、17個受精することができました。
受精卵は、すぐに冷凍保存。奥さんの子宮の状態を整えながら、妊娠させるそうです。