NHKスペシャルで放送された「介護殺人」。愛する家族が在宅介護の末、親を殺害するケースが多発しているそうです。

NHKが調べたところ、2010年以降、介護の問題より発生した、家族による殺人、障害、心中事件が138件ありました。

この割合は、なんと「2週間に1回の頻度」。それだけ、介護をめぐる家族の犯罪が多発していることになります。

介護経験のある家族615人にアンケートをしたところ388人から回答があり、その中には「介護の相手を手にかけてしまいたい」「一緒に死にたい」という声が多数ありました。

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いったい在宅介護の現場に何がおきているのでしょうか・・。

ある独身男性は、働きながら認知症の父と母の介護を続け、犯罪を犯す一歩手前まで追い詰められたといいます。

80代の女性は、認知症の夫の介護に疲れはて、未遂に終わりましたが夫が寝ている間にタオルで首を締めてしまったそうです。

妻を殺害した71歳の男性は、骨粗しょう症で動けなくなった妻の介護をはじめてから10ヶ月後、「死にたい、生きるのがつらい・・殺して・・」という言葉に、引きこまれてしまったといいます。

認知症の母を殺害してしまった50代の男性は、母との意思疎通はまったくできず、母をバケモノだと思ったそうです。

事件が起こるまでの期間を調べてみると、介護1年未満の犯罪が26%で、全体の4分の1を占めていました。

元気の時の姿を知っているだけに、介護となった時の落差があまりにも大きく、悲嘆してしまうのだそうです。

在宅介護をすすめる政府に対し、実際に起っている在宅介護の悲惨な現実・・。

犯罪を犯した人たちは、「お金がないため一般の施設に預けることはできず、自分でみるしかなかった・・」といいます。

しかし、施設には入れられなかったけど、国や自治体が支援する介護サービスは、限界まで利用していました。

つまり、現在の福祉体制、介護体制では「在宅介護で最後まで見届けることなど不可能」ということになります。

今回の放送では、「在宅介護の破綻」「素人介護の限界」「お金と介護」「老々介護」など、幾つもの事実関係が見えてきました。

福祉の現場に携わっている方は、「今の社会の仕組みやシステムでは、介護に限界がある。問題が解消されない限り、介護殺人は永遠になくならず逆に増えていくだろう」と警告しています。

私たち庶民の現状を知らず、在宅介護を進めているお金に困らない政治家の方に、ぜひぜひ見てもらいたい番組でした。