介護するとき、介護する側もされる側も、もっとも苦労するのが排泄の問題です。
体を支えてもらいながら歩けるうちは、トイレで用をたすことができます。
足が不自由になり支えることも難しくなると、ベット横にポータブルトイレを用意し対応することになります。
そして、ベットから体も起こせないようになると、最期はオムツの世話となります。
このオムツ生活が、介護する側にもされる側にも大きな負担となっています。
世話する人も、される人も辛い排泄の処理
介護の中でもっとも大変なのが、便が終わったあとのオムツの交換です。
汚れたお尻を拭いてもらいオムツを交換してもらうのは、介護する人にも、される人にも大きな負担をかけます。
私の母は足が不自由で、ベットから自力で起き上がれないようになり、オムツをせざるを得なくなりました。
兄嫁が母の面倒をみていたのですが、オムツになって数日後には、「施設にいきたい・・」と言い出しました。
それは、兄嫁への申し訳なさと、気兼ねのためオムツ交換を我慢することに絶えられなくなったのです。
「お金を払ってでもいいから、気兼ねなくオムツを交換してもらいたい・・・」というのが、母の本音でした。
施設では、仕事として1日5回しっかりオムツを変えてくれます。
母にとって、自宅で身内の世話になるより、施設で他人の世話になった方が、ずーっと心が楽だったのです。
人が生きている限り続く排泄処理・・。介護とは切り離すことのできない、この問題を解決する方法はないのでしょうか。
最新科学で解決を目指す排泄問題
介護者の排泄問題に、最新のIT技術を使い挑んでいる会社があります。
センサー技術を使い、排泄を予知する商品を開発したのが、トリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社です。
下腹部に超音波センサーを取り付け、膀胱部の膨れ上がりを分析し、排尿と排便のタイミングを予測します。
排尿や排便が近づくと、介護者のスマホに「あと、何分ででます」と知らせてくれます。
排尿、排便を事前に知らさせられるため、オムツの着用や交換頻度を抑えることができるようになるそうです。
また、排便があったことを知らせる商品もあります。開発しているのは、「パラマウントベッド株式会社」です。
においを検知するセンサーをおむつにつけることにより、排泄のあったことを知らせすシステムです。
これにより、介護を受ける人の不快な気持ちを改善するとして、注目されています。
その他、ベットに寝たまま自動で排泄物を処理してくれる装置などの研究も進んでいます。
ちょっとしたコツで排泄ケアが変わる
NHK 9月20日放送の「クローズアップ現代」でも、介護で一番大きな負担となる排泄処理について取り上げました。
番組で、介護で苦労したことのアンケートをしたところ、
・排泄 62.5%
・入浴 58.3%
・食事 49.1%
と排泄が一番でした。やっぱり、排泄の問題は深刻ですよね。
3年前から母親の介護をはじめた、新田恵利さんも、おむつのことで悩んだそうです。
ドラックストアに行っても、どんなおむつを買えばいいのかわからず、お腹を壊しやすい母親のやわやらかい便も悩みでした。
「大人のおむつの変え方も知らないので、何をどうしていいのかわからなかった」といいます。
そのため、新田さんも、介護をうけている母親もつらい思いをしていました。
このように排泄の問題は、誰にも相談できず悩みを抱えながら介護している人が多いといいます。
そんな人のために、おむつの使い方を学ぶ「おむつフィッター研修」というのがあるそうです。
排泄ケアの知識や注意点などを学ぶことができます。
おむつからの尿の漏れなども、ちょっとしたコツをつかむだけで、漏れにくくなるそうです。
浜松市では、市民の排泄問題に対応するため、民間の「排泄ケア相談窓口」を設けているそうです。
浜松市以外でも、排泄処理の悩みを相談する窓口として、以下のようなところがあります。
医療的な問題
・かかりつけ医、泌尿器科など
排泄ケアなど
・日本コンチネンス協会
・おむつフィッター研修
身内のおむつの問題は、なかなか人に相談できないものです。
おむつや排泄ケアでお悩んでいる方は、ぜひ一度相談してみてください。