平成のブラックジャックと呼ばれる天才医師、金平永二先生(53)。内視鏡外科手術のパイオニアであり、日本初のフリーランス外科医になった人です。

ブラックジャックのように、自分だけの腕を頼りに世界中から依頼のあったオペをこなしていく・・かっこいいですね。

金平永二先生は、今まで、胆のう、胃、大腸、膵、脾など消化器疾患の内視鏡外科手術を2000例以上執刀してきました。

特に、直腸腫瘍に対する経肛門的内視鏡下マイクロサージェリー(TEM)と胃粘膜下腫瘍手術は、世界トップクラスとして知られています。

そして、今回の主役は、もう一人の天才加工技術 二九良三さん(57)。軽くて強くて錆びないうえに、自由自在に曲がる「βチタンパイプ」を、世界で唯一作る技術をもつ金属精密加工業社長です。

この2人が、新しい医療の扉を開けようと、タッグを組みました。開発するのは、内視鏡外科手術用の「鉗子(かんし)」。

鉗子はまっすぐという、従来の常識をやぶり、「ヘビのように曲がりくねった手術鉗子」の開発です。この鉗子を使うと、「単孔式内視鏡手術」に革命が起こるそうです。

単孔式内視鏡手術は、お腹を切らずにおへその穴から、数本の鉗子を入れ込み手術をする最新の手術法。

この手術法は、患者さんに大きなメリットがあります。術後の回復が早い、痛みが少ない、入院期間が短い(1日~3日)身体への負担も少なく、傷跡がほとんど残らない理想の外科手術なのです。

一般的な内視鏡手術では、離れた位置に複数の穴を開け、複数の鉗子を使い、掴んだり、ひっぱたり、切ったりするのもラクに行えます。

しかし、単孔式内視鏡手術の場合、ひとつの穴に複数の鉗子を入れるので、鉗子間の距離が取れないため、手術法は、極度に難しいものとなります。

鉗子が曲がっていれば、手術のしやすさを格段に高めることができます。金平さんと、二九さんが求めるのは、3ヵ所で自在に曲がり、しかも、先端がグルグル回転する鉗子です。

さらに、ドクターが思うように操作できなければなんの意味もありません。

試行錯誤、試作品、廃棄、作り直しの連続です。そして、できあがった鉗子をドイツの学会で発表。

「ずっとこんな手術器具が欲しかった!」ドイツに集まった世界各国の外科医たちが、大絶賛する鉗子がついに出来上がりました。

『多くの人が、安全に、安心して体にやさしい手術を受けられるように・・』。金平さんと、二九さんは「医工連携」で、その可能性に挑み続けます。

■金平さんの病院
メディカルトピア草加病院
埼玉県草加市谷塚1-11-18
048-928-3111