今、日本人の3人に1人の死因が「がん」だそうです。
意外なことに、がんという病気は、動物の中で人間だけのようです。
最も近いチンパンジーでさえ、ほとんどガンで死ぬことはないそうです。
では、ガンは、なぜ人間だけに存在するのか・・そこには、ヒトが二足歩行しながら、脳を巨大化させたことと関係があるようです。
がんを増殖させる遺伝子、ガン細胞の栄養源を大量につくってしまう仕組み、そしてそれを抑え込もうとする体内物質など、私たちの身体の中では、はてしない攻防が続いています。
私たちは、この最強の病源ガンにどのように立ち向かっていけばいいのか・・
ヒトの進化とがんの増殖の闘い
癌に関する最先端の研究と先進医療は、どこまで進んでいるのでしょうか。
がんとは、多細胞生物が細胞をコピーするときの、コピーミスで生まれます。
それは、人類が二足歩行や脳を巨大化させるための仕組みと大きくかかわりあっていることがわかってきました。
実は、人の精子の細胞増殖とがん細胞の増殖の仕組みは同じだそうです。
さらに脳の巨大化とがんの増殖する仕組みに、共通のFASという酵素(脂肪酸)が関わっていることがわかってきました。
がんは、増殖に脳を巨大化させる仕組みを利用していたのです。
がんのなりやすい現代の環境
高緯度で紫外線の少ない地域の大腸がんの死亡率が高い
紫外線は、体内にビタミンDを作ります。実は、このビタミンDの量が大腸がんの発症率に関係していることが全米の調査でわかってきました。
毎日ビタミンDの錠剤を飲み続ける実験したところ、ビタミンDを飲み続けたグループは、乳がん、大腸がん、肺がんの発症率がそうでないグループの半分に下がってました。
紫外線は当たりすぎると皮膚がんの恐れがありますが、ビタミンDをつくるため1日の15分程度日光に当たることが大切です。
夜眠らない生活ががんの発症のリスクを高める
人は夜十分に睡眠をとることで、がんの発症をおさえる仕組みを備えていたのですが、文明の発達がそれを阻害していることがわかってきました。
がんの抑制に、血液中に含まれるメラトニンの量が、関係していたのです。
メラトニンは、夜寝ている間につくられます。つまり、夜、電気のついている明るいところにいるとメラトニンが作られなくなってしまうのです。
看護士の勤務時間の違いによる乳がん発生リスクを調べてみると日常勤務の人を1とすると、夜間勤務が月に数回ある人は1.8倍、常に夜間勤務の人は2.9倍になっています。
夜間勤務は、男の前立腺がんの発症確率も3倍に高めるそうです。
しかし、現代の日本社会では、5人に1人は夜間勤務という実態だそうです。
画期的ながん治療薬 FAS阻害薬
FASが、がんの増殖にかかわっていることを突き止めたガブリエル・ロネット博士。
このFASの働きをブロックする物質を見つけ、3年前精製することに成功しました。
その効果は、がん細胞を増殖をおさえ死滅させることが確認されています。
FAS阻害薬は、がんの栄養となるFASを断ち切るため、普通の細胞を傷つけたり、副作用はおきないといいます。
FAS阻害薬は、がんの画期的な治療薬として、実用化に向け、今臨床試験の準備が進められています。