人一倍元気で、バイタリティのある55歳の女性企業セミナー講師。日本全国飛び回り、充実した日々を送っています。
ちょっと気になることといえば、健康診断で指摘されたあること。しかし、処方された薬は毎日欠かすことなく飲んでいます。
セミナーの依頼が入り、地方の企業研修に出張しました。研修期間は1週間。その間、研修会場のホテルに缶詰状態でした。
そこで、運動不足とストレス解消を兼ねて、ホテルの周辺を毎日ウオーキングをして体調を整えてました。
研修も無事終了し、都内に戻って歩道橋を歩いてたところ突然背中の痛みが・・・
あまりの痛さに、座り込んで動けなくなってしまいました。
ドクターは、彼女のホテルでの生活を詳しく問診し、病名を特定するためのある重要な手がかりをつかみました。
果たしてその病名とは・・
水戸協同病院 徳田安春先生が、研修医たちを導いてくれます。
突然の背中の痛みの原因は
●同僚の話
一週間毎日、朝食でバイキングのマンゴーを食べていた。
食後にサプリメントで、ビタミンC、ローヤルゼリー、サメ軟骨、ブルーベリーを摂っていた。
セミナーは、午前、午後で5時間立ちっぱなし。
酒は止めていた。2ヶ月前の健康診断で再検査がでていた。血圧も高く、中性脂肪を気にしているようだった。
最終日の夜は、久しぶりにお酒マテーニィを飲んでました。
毎日、ホテル周りのウォーキング、薬も忘れず飲んで体調管理もしっかりしてました。
胸元に青あざがでていてトイレでファンデーションで隠していた。
●娘さんの話
3ヶ月前 父が脳梗塞で亡くなった5年前よりお酒を飲むようになる再検査は心電図でひっかかり、心房細動との診断。
<心房細動>
左心房がけいれんしたような状態になり血栓ができやすい原因は、心臓の弁の病気、高血圧、飲酒です。
心臓以外の場所に流れて血管を詰まらせることがあります。
その他、中性脂肪も高いので、要注意の診断結果。それからは塩分を控えめにして、サプリメントも摂るようになりました。
第一診断
研修医A・・腎動脈乖離
腎動脈が裂けている状態 背部痛 微熱がでる
乖離は、血管の内部が裂けて、その中に血流が流れている状態
研修医B 急性心筋梗塞
心臓の血管に血栓が詰まり心細胞が壊死する
胸の痛み 呼吸困難 吐き気 冷や汗などが起こる
痛みの原因が生じた場所と違う場所に痛みが発生する関連痛
とも考えられる。
研修医C・・腎梗塞
腎動脈が血栓で詰まり壊死する 背部痛 血尿が起こる
マンゴーが血液サラサラの薬を妨げ血栓を起こした?
患者さんは突然発症を起こしてました。
突然発症を起こすには4つのメカニズムがあります。
①何かが破れる
②何かが詰まる
③何かが裂ける
④何かが捻れる
研修医は、この4つの原因で血管が破れたと推測しました。
最終診断
脊髄硬膜外血腫でした。
脊髄を包む硬膜外で出血し血腫で脊髄や神経が圧迫され
強い痛みが起こります。
MRI診断で血腫を確認します。
血液が固まらないようにサラサラな薬(ワルファリン:抗血液凝固剤)を飲んでいましたが、毎日マンゴーを食べていたため
増強されて発症しました。
●治療法
ワルファリンを即刻中止し、血液を固める薬を注射し治療しました。その結果、背中の痛みもとれ、後遺症もなく無事完治しました。
※いろいろな症状のときに、原因に薬がないか、飲み合わせ、食事の関連性をチェックする必要があります。
そのため、飲んでいる薬を正しく伝えることが大切です。