細胞シートってご存知ですか?

細胞シートは患者さんの体から取りだした細胞を培養してシート状にしそれを重ねあわせることで、失った機能を回復させることのできる夢の治療法です。

この分野の研究では、東京女子医科大学 先端生命医科学研究所の岡野 光夫先生のグループが世界の最先端を走っています。

細胞シートの素晴らしいところは、体内のほとんどの組織をつくることができ、しかも、自分の細胞からつくるため、拒否反応が起きず、自分のものとして再生してしまうことです。

また、複数の細胞シートを重ね合わせることにより、心臓や肝臓など臓器そのを作ってしまう可能性があるそうです。

貼り付けた細胞シートからは、サイトカインという物質が放出され細い血管が生まれ細胞を再生させます。

現在、心臓のうすくなった心筋部分に細胞シートを貼り付け心臓の機能を回復させる手術で成果を上げています。

番組では、拡張型心筋症の男性の治療した大阪大学医学部 澤芳樹先生の手術の様子を紹介してました。

細胞シートによる再生治療

①太ももの筋肉から10g採取し筋芽細胞を取り出す
②その細胞を1ヶ月かけて細胞シートを仕上げる
③そのシートを複数作成し、心臓に貼り付ける

手術は1時間半で無事終わり、4ヶ月たった現在、日常生活に支障もないほどに回復していました。

再生医療は、だれでもという段階ではないのですが、適応の方には受けられますので、診療を希望の方は主治医の方にご相談くださいとのことです。

現在の段階は、今治る見込みのない方の臨床研究の段階です。詳しくは大阪大学医学部附属病院 心臓血管外科のHPにでています。

その他、目、歯、膝関節などの部分でその成果をあげています。

現在行われてる細胞シートによる再生治療の研究

心臓・・拡張性心筋症、虚血性心疾患の再生治療
耳・・中耳腔粘膜組織の再生治療
軟骨・・関節軟骨の修復再建治療
膵臓・・あたらしい糖尿病治療の実現
肝臓・・肝再生治療
肺・・気胸による気漏の再生治療
歯・・歯周組織の再生治療
食道・・食道がん手術後の再生
角膜・・角膜上皮の再生治療

歯周病の細胞シート治療 東京女子医科大学病院 口腔外科 岩田隆紀先生

歯を支える骨がとけてしまった患者に、歯を1本抜いて歯根膜細胞を4週間かけ培養します。

今回の治療で対処療法から根治することができる可能性があります。将来治療するためには、親知らずを抜かないでおいたほうがいいということです。

現在、細胞シートによる治療を受けられる病院

心臓、角膜損傷 大阪大学医学部附属病院
歯周病  東京女医科大学病院
変形性膝関節症 東海大学医学部附属病院 整形外科 佐藤正人先生

※いずれも、現在は臨床研究の段階です。
※心臓治療は、あと2~3年で保険適用になる予定だそうです。

まさしく私たち、中高年が一番望んでいる最先端医療技術です。細胞シートによる治療、注目したいですね。